...片方の牡蠣(かき)のように盲(めし)いた眼までを輝かして顔だけでめちゃめちゃに笑った...
有島武郎 「星座」
...俺だって貴様……とにかく貴様みたいな偽善者(ぎぜんしゃ)は千篇一律(せんぺんいちりつ)だからだめだよ……なあ西山」牡蠣(かき)のような片目が特別に光って西山の方に飛んできた...
有島武郎 「星座」
...我々の軟体動物即ち蛤、クワホッグ〔簾貝の類〕、牡蠣、海扇等に対する嗜好は極度に制限され、普通の糧食供給を構成するイガイに対しても稀である...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...喧囂(けんがう)雑踏極まりもなき牡蠣殻町(かきがらちやう)の塵埃の中にも...
石川啄木 「閑天地」
...按摩の目は蠣(かき)や云います...
泉鏡花 「歌行燈」
...先刻はいた痰(たん)が腐った牡蠣(かき)のように床に付着している...
梅崎春生 「日の果て」
...岸の柳がビロードのやうな若葉を吐いたばかりの枝を一つ牡蠣船の方に垂れてゐたが...
田中貢太郎 「牡蠣船」
...病(やまい)でなしに死んだ者でもあるかね」「さあと……さあ」按摩は蠣殻(かきがら)のような白い眼をぱちぱちやりながら考えていたが...
田中貢太郎 「鼓の音」
...ある家では牡蠣(かき)を入れたのを食わされて胸が悪くて困った記憶がある...
寺田寅彦 「新年雑俎」
...飛びて潛りて蠣求め...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...ふたりが牡蠣を食い始めていると...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...予審ではすっかり自白したが公判廷で証言する段になると牡蠣のように黙ってしまったから...
服部之総 「撥陵遠征隊」
...人夫小屋が頑固な牡蠣殻のようにしがみついていた...
久生十蘭 「海豹島」
...札に平石権現と彫り付け牡蠣(かき)の殻も付きたり...
南方熊楠 「十二支考」
...蠣崎波響(かきざきはきやう)...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...その百三十一わたくしは菅茶山の此年文政五年に蠣崎波響に贈つた詩に拠つて...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...特に刺青に関係した事となると牡蠣(かき)のように口を噤(つぐ)んでしまう...
夢野久作 「S岬西洋婦人絞殺事件」
...牡蠣(かき)船だの...
夢野久作 「鉄鎚」
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