...蠑(いもり)が時々赤い腹を出して...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...蠑(ゐもり)は涅(くり)にくぐり入り...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...ところが、この売るということが、お話しのほかで、買い手もないといった頃、その頃の堂々たる大名、旗本の家屋敷、あるいは豪商大家の寮とか別荘とかいうものでも、いざ、売り払うとなると二束三文、貰ってもしようがないと貰い手もない時節であるから、この蠑螺堂を、壊し屋が買った値段も想像されます...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...彼は肴屋(さかなや)に蠑螺(さざえ)を一籠(ひとかご)誂(あつら)え...
徳田秋声 「縮図」
...蛇一虫類で、彼の嫌いなものは、蛇、蟷螂(かまきり)、蠑(いもり)、蛞蝓(なめくじ)、尺蠖(しゃくとり)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...寐てるうちに蠑螺が逃げやしないかと心配して笑はれたこともおぼえてゐる...
中勘助 「銀の匙」
...蠑(いもり)の天上するような形をしてやっと長持をもがき出した黒い人影は...
中里介山 「大菩薩峠」
...本所の五つ目に有名な蠑螺堂(さざえどう)という羅漢寺(らかんじ)がございました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...蠑螺堂の百羅漢もその例に漏れる筈(はず)もありません...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...蠑螺堂の窓から射し込んでいた...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...蠑螺(さざい)の壺焼(つぼやき)やも出なかった...
長谷川時雨 「鉄くそぶとり」
...生きた蠑を想う方の部屋の天井へ釘づけしておきますと...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...あなたはこの蠑を堀の水へかえして...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...蠑螺(さゞえ)は鳴くといふではありませんか...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...雛の宵の蠑螺の忍びなきは涙ぢやありません...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...これは美麗な大蠑(いもり)を竜と崇めたのだ...
南方熊楠 「十二支考」
...当時珍建築といわれた蠑螺堂はコワシ屋へ払いさげ...
山本笑月 「明治世相百話」
...門を入(はひ)つて右に折れると洞(ほら)の屈曲は蠑螺(さざえ)貝の底の様に急に成り...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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