...其邊は既(も)う場末で、通り少なき廣い街路(まち)は森閑として、空には黒雲が斑らに流れ、その間から覗いてゐる十八九日許りの月影に、街路に生えた丈低い芝草に露が光り、蟲が鳴いてゐた...
石川啄木 「札幌」
...それは蛸(たこ)と昆蟲の中間の様なものであった...
海野十三 「火星探険」
...魚賣の手に寄生する水蟲と...
江南文三 「佐渡が島から」
...臺所道具は固より油蟲の無闇に澤山居る長火鉢や...
高濱虚子 「續俳諧師」
...母はこの弱い小蟲も三日間位の禁錮になら堪へ得られると思つて...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...玉蜀黍をゆする風の音につれて道端に鳴く蟲の音が俄に耳立つて來るので...
永井荷風 「羊羹」
...簑蟲の形而上學的疑惑...
中島敦 「かめれおん日記」
...彼(かれ)は遠(とほ)く畑(はたけ)に出(で)て土(つち)に潜伏(せんぷく)して居(ゐ)る其(その)憎(にく)むべき害蟲(がいちう)を探(さが)し出(だ)して其(その)丈夫(ぢやうぶ)な體(からだ)をひしぎ潰(つぶ)して遣(や)る丈(だけ)の餘裕(よゆう)を身體(からだ)にも心(こゝろ)にも持(も)つて居(ゐ)ない...
長塚節 「土」
...彼(かれ)は恐(おそ)ろしい泣蟲(なきむし)であつた...
長塚節 「土」
...平次は疳(かん)の蟲がムカムカと首をもたげましたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...珍(めづら)しい蝶々(ちよう/\)や甲蟲(かぶとむし)などの變(かは)つた種類(しゆるい)のものが驚(おどろ)く程(ほど)たくさんに集(あつ)めてあります...
濱田青陵 「博物館」
...穴(あな)を掘(ほ)つて蟲(むし)をとつたり...
濱田青陵 「博物館」
...『さう怒(おこ)るものぢやない』と芋蟲(いもむし)が云(い)ひました...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...蟲の聲と鹽ぱい海寄りの風を頬に受けて坐つた...
室生犀星 「神のない子」
...もっとも「蟲」の主人公が殺人を遂行する迄の筋道は何となく冗長なようで...
夢野久作 「江戸川乱歩氏に対する私の感想」
...羽蟲の群がひくゝ水の上にまひ...
若山牧水 「樹木とその葉」
...私はわざわざ座を立つてその蟲を逃がさうとした...
若山牧水 「樹木とその葉」
...箱の中には孵(か)へされた小魚が蟲の樣にして泳いでゐた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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