...其人とは蟲が知らしたのだが……...
石川啄木 「鳥影」
...活き活きした女の精神が死んでゐらア!」うじ蟲と云はれたのを母も怒つたのかして...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...小指は家中(うちぢゆう)の祕藏兒(ひざうつこ)、泣蟲の小僧だが、始終母親の腰巾著になつて引摺られてゐるから、まるで啖人鬼女(ひとくひをんな)の口にぶら下(さが)る稚兒(ちご)のやうだ...
ルイ・ベルトラン Louis Bertrand 上田敏訳 「五本の指」
...世に叩頭蟲を學ばむとする人の稽古には...
大町桂月 「春の筑波山」
...夜をきしきしと木食蟲 樹の髓食(は)むを...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...半ば頽(くづ)れし門の廂(ひさし)に蟲食(むしば)みたる一面の古額(ふるがく)...
高山樗牛 「瀧口入道」
...萎(しを)れかけた草の葉かげから聞える晝間の蟲の聲は...
永井荷風 「蟲の聲」
...彼(かれ)は遠(とほ)く畑(はたけ)に出(で)て土(つち)に潜伏(せんぷく)して居(ゐ)る其(その)憎(にく)むべき害蟲(がいちう)を探(さが)し出(だ)して其(その)丈夫(ぢやうぶ)な體(からだ)をひしぎ潰(つぶ)して遣(や)る丈(だけ)の餘裕(よゆう)を身體(からだ)にも心(こゝろ)にも持(も)つて居(ゐ)ない...
長塚節 「土」
...俺の腹の蟲が納まらねえ」竹の市は身體を揉んで解かせまいとします...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...斬られた方は油蟲のやうな安惡黨だから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「酒蟲」は材料を「聊齋志異」から取つたものである...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...良久(しばらく)して芋蟲(いもむし)は口(くち)から煙管(きせる)を離(はな)し...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...膝の上の白い蟲のような指先が細かくブルブルと震えた...
三好十郎 「肌の匂い」
...舟蟲という女の出て来る所からはじまって...
柳田国男 「故郷七十年」
...毛蟲は蟲がすかず...
横瀬夜雨 「五葉の松」
...小さな黒いむく/\した毛蟲を指で取つてゐたことを思ひ出す...
横瀬夜雨 「五葉の松」
...音たてぬやうに廊下に出ると前栽(ぜんさい)の草むらに切りに蟲が喞(な)いて居る...
若山牧水 「姉妹」
...蟲が知らしてお別れに來たのではなかつたか...
若山牧水 「樹木とその葉」
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