...さっきこの婆のものを云う声が、蟇(がま)の呟くようだったと云いましたが、こうして坐っているのを見ると、蟇も蟇、容易ならない蟇の怪が、人間の姿を装って、毒気を吐こうとしているとでも形容しそうな気色ですから、これにはさすがの新蔵も、頭の上の電燈さえ、光が薄れるかと思うほど、凄(すさま)しげな心もちがして来たそうです...
芥川龍之介 「妖婆」
...」客は黒い小さな蟇口を胸の所で開けてゐた...
田中貢太郎 「蛾」
...彼は蟇口(がまぐち)から五十銭札を二枚出した...
田中貢太郎 「水魔」
...私は盥をうつむけてその下に蝦蟇を入れ...
豊島与志雄 「蝦蟇」
...よく大きな蟇が出た...
豊島与志雄 「同感」
...彼は蟇の近くに屈みこんで...
豊島与志雄 「同感」
...そういうものとしてさしあたり、亀、蝦蟇、蝦、蟹……水陸両棲類におちつく...
豊島与志雄 「夢の図」
...いかなる粗末な蟇口(がまぐち)の中にも金のないことはなく...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...或新聞の如きは蝦蟇を捕えた人に金参百円の賞を贈ると云う広告を出した...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...彼等のお眼(めめ)は蟇(ひきがへる)の...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...蟇口の事もそれなりにして置いた...
夏目漱石 「坑夫」
...懐中(ふところ)から蟇口(がまぐち)を出して...
夏目漱石 「こころ」
...今朝(けさ)はその残金が十五銭だけ私の蟇口(がまぐち)の中に残っていたのでした」「人間というものはどんなことがあっても餓死するものではない...
平林初之輔 「悪魔の聖壇」
...紙幣入りの蟇口など悲惨に河岸つぷちにちらばつてゐるその側らの切石には白墨で「検死ズミ七十九名」とかいてあつたし...
正岡容 「浅草燈籠」
...バックン(蟇)と蚯蚓は友だちであった...
柳田国男 「母の手毬歌」
...鏡に包まれし蟇(がま)の如く...
夢野久作 「白くれない」
...蟇といわなければ神様のような人間になっている...
吉川英治 「江戸三国志」
...メリケン刈(がり)の頭へ蟇(がま)の疣(いぼ)みたいに光る鳥打帽を乗っけている...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
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