...脚(あし)を蟇(ひきがへる)の如(ごと)く踏張(ふんば)つて――上等(じやうとう)のは知(し)らない――屋根(やね)が低(ひく)いから屈(かゞ)み腰(ごし)に眼(まなこ)を据(す)ゑて...
泉鏡太郎 「麻を刈る」
...大蟇(おおがま)先に在(あ)り小蟇後(しり)へに高歩み大正六年五月八日 婦人俳句会...
高浜虚子 「五百句」
...彼はインバの衣兜から蟇口を出してその金を払ふとゝもにすぐ腰をあげた...
田中貢太郎 「青い紐」
...銀色の眼のきろきろ光る蟇(がま)は見たろうな」と...
田中貢太郎 「赤い土の壺」
...蟇は草の中へ入っていった...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「促織」
...ワクドウ(蟇の方言である)が水にはいる(産卵のためである)...
種田山頭火 「行乞記」
...池の中に飛び込んでる大きな蛙や蝦蟇を...
豊島与志雄 「同胞」
...大阪駅から乗ったタクシイの中で――従姉の家は八尾にあった――三造はそっと自分の蟇口をのぞいて見た...
中島敦 「斗南先生」
...蟇口を受け取って...
夏目漱石 「坑夫」
...蟇口の事もそれなりにして置いた...
夏目漱石 「坑夫」
...ほんとうに血だらけな手でその蟇口を自慢そうに妾の眼(め)の前へぶら下げてみせたとしたら...
平林初之輔 「華やかな罪過」
...紙幣入りの蟇口など悲惨に河岸つぷちにちらばつてゐるその側らの切石には白墨で「検死ズミ七十九名」とかいてあつたし...
正岡容 「浅草燈籠」
...第一机の抽出に蟇口をいれて置くといふのがよく無いのだと...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...そつと耳をたてると男はまだ蟇のやうに坐つて...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...イクラか這入(はい)った蟇口と一緒に懐中(ふところ)に入れた...
夢野久作 「近眼芸妓と迷宮事件」
...雨垂れ落(おち)の水を足で泄(たた)えたり蟇(ひき)を蹴飛ばしたりして大いに喜んだ...
夢野久作 「父杉山茂丸を語る」
...人には引けない蟇目(ひきめ)(強弓)をよく引くほどな鍛(きた)えもある...
吉川英治 「私本太平記」
...――蟇(がま)のように口をむすんでいる...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
便利!手書き漢字入力検索