...あわれに潮にすさんだ折櫛が――その絵の螢が幽に照(て)った...
泉鏡花 「浮舟」
...お客さまのうちにはよく螢(ほたる)を啼けとか...
岩野泡鳴 「猫八」
...糸の端の部があたかも螢(ほたる)の尻のごとくに光り...
丘浅次郎 「自然界の虚偽」
...彼はその螢を見ながら足を止めてステツキの先を蘆の葉に軽く触れてみた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...書斎ノスタンドヲ螢光燈ニ改メタノモ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...・たれかこいこい螢がとびますさら/\青葉の明けてゆく風・風は夜明けのランプまたたく・こゝろすなほに御飯がふいた埃まみれで芽ぶく色ともなつてゐる(改作)六月十六日昨夜の酒がこたえて胃が悪い...
種田山頭火 「行乞記」
...螢の里...
田山花袋 「道綱の母」
...即ち智識を得るのは成程螢雪の功だと思ふやうになる筈だ...
新渡戸稻造 「教育の目的」
...螢草垣根の外に来ては泣く故郷(ふるさと)の恋しい唄に聞きほれて垣根の外に来ては泣く下野(しもつけ)の機場(はたば)にしぼむ螢草(ほたるぐさ)垣根の外に故郷の恋しい唄を聞いて泣く...
野口雨情 「別後」
...「螢沢の畑の中の二軒家...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...螢澤に浪宅を構へて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「いろ/\訊いて見ると、近頃その源氏長家に變なことが續くんですつて」「はてね」「主人の弟の佐野松が、妙にソハソハして來たと思ふと、次第々々に影が薄くなつて、痩せが眼につくといふから唯事ぢやありません」「――」「主人の鈴川主水が、いろ/\氣をつけてゐると、離屋(はなれ)になつてゐる佐野松の部屋へ、夜な/\通つて來る女があるといふから穩やかぢやないでせう」「よくある話だな」「狐狸のわざなら、退治して後の禍(わざわ)ひを防ぐ術(て)もあるが、魔物や鬼神のわざでは手に了へない、そこで、螢澤の家へ三、四日泊つて、その正體を見屆けて貰ひたい――とかういふ頼みなんで」三八五郎の話には、何んとなく常識で割りきれない、途方もなさがありました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あら螢が……」縁側へ大きな螢がすつと飛んで來て...
林芙美子 「多摩川」
...螢を追駈廻してゐるのは...
三島霜川 「水郷」
...」失敗(しま)ツた! 自分は螢籠を片手にぶらさげてゐた...
三島霜川 「水郷」
...のみならず海螢の光は静かに明滅するが...
武者金吉 「地震なまず」
...螢の闇見れば、紺のさめためくらの手甲(てっこう)脚絆(きゃはん)に、やぼな身なりをした年寄ですから、「なんだい、とっさん...
吉川英治 「江戸三国志」
...子供と螢がよく知つてゐる...
吉川英治 「折々の記」
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