...彼はすでにそのころ陋巷に蝕まれた肉體を横たへてゐたのだらう...
心猿 「露伴忌」
...被害民の人命が日一日と蝕まれてゆくことである...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...自分で自分の生活を腐蝕してゆくよりほかには仕方がなかつた人でした...
薄田泣菫 「山雀」
...他の二本も殆ど蝕(むしば)まれて辛うじて存在をとどめてゐる...
武田麟太郎 「大凶の籤」
...板の表面が腐蝕して字面だけが高く盛り上っているところをみると...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...虫に食われ世に忘れられ、疣(いぼ)や黴(かび)や吹き出物などが一面に生じ、よろめき、腐蝕され、見捨てられ、永久に救われない、そのみじめな年老いた巨獣、四つ辻(つじ)のまんなかに立って好意の一瞥(いちべつ)をいたずらに求めてるその一種の巨大なる乞食(こじき)は、これもひとりの乞食、足には靴(くつ)もなく、頭の上には屋根もなく、凍えた指に息を吐きかけ、ぼろをまとい、人の投げ与える物で飢えをしのいでるあわれな小人に、憐愍(れんびん)の情を寄せてるかのようだった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...而して出来上り候原版を腐蝕せしむる薬品としては...
中里介山 「大菩薩峠」
...さうして自分(じぶん)は寒(さむ)さに腐蝕(ふしよく)された樣(やう)に赤(あか)い顏(かほ)をしてゐた...
夏目漱石 「門」
...そして沢山の金が要るんだろうか?」贅沢の悪魔が彼を蝕んだ...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...変朽安山岩(プロピライト)が正規浸蝕谷の中へ落下して来たもので...
久生十蘭 「地底獣国」
......
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...病魔に蝕まれ尽した多くの病友達を眺め...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
...よし蝕まれ腐つたものにせよ...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
......
前田普羅 「普羅句集」
...東京(トンキン)人は月蝕を竜の所為(しわざ)とす(一八一九年リヨン版『布教書簡集(レットル・エジフィアント)』九巻一三〇頁)...
南方熊楠 「十二支考」
...天の知恵の権利を侵蝕してまで...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...Q川の浸蝕力は益々緩漫になつて来た...
横光利一 「静かなる羅列」
...化学薬品に浸して腐蝕(ふしょく)させ...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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