...「あれは蛸ではない...
海野十三 「火星探険」
...SPERMATOPHORE を雌の外套膜に投げこむ蛸舟の雄を思ひ出す...
薄田泣菫 「久米の仙人」
...口を尖らせるので蛸さんと綽名のある料亭の一人息子が...
「草藪」
...蛸ひとりを宿に置いてさっさと発足しようとなさるが...
太宰治 「新釈諸国噺」
...そのころ出たての針金を縮ませて足を工夫した蜘蛛(くも)や蛸(たこ)の翫具を持って来て...
徳田秋声 「黴」
...音楽が詩を食い荒らす蛸(たこ)のように...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...――大いなる蛸の如きもの...
豊島与志雄 「蛸の如きもの」
...同じく角帽の栄冠を得た親友蛸(たこ)ちゃんはどうなったろう...
永井隆 「長崎の鐘」
...その周圍を蛸樹(たこ)やレモンや麺麭(パン)樹やウカル等の雜木の防風木が取卷いてゐる...
中島敦 「環礁」
...其處(そこ)には凝然(ぢつ)として蛸(たこ)が足(あし)の疣(いぼ)を以(もつ)て内側(うちがは)に吸(す)ひついて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...蜑が家に蛸の生きたるを見てよめる歌天地の未だ別れず、油なすありけむ時に、濁れるは重く沈みて、おのも/\成りけるがなかに、なりざまの少し足らざる、蛸といふは姿のをかしく、動作(すること)のおもしろきものと、漁人の沖に沈みし、蛸壺に籠りてある時、疣自物曳けども取れぬを、蛸壺の底ひに穿てる、其孔ゆ息もて吹けば、駭きて出づとふ蛸の、こゝにして桶の底ひに、もそろ/\蠢きてあれば、ほと/\に頭叩き、おもしろと我が打てば、うつろあたま堅くそばたち、忽ちに赤に醉ひたるは、蓋しくも憤るならし、眼(まながひ)もくちもおもしろ、蛸といふものは...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...じいさんは蛸薬師も知らず...
夏目漱石 「三四郎」
...けれども蛸は死ななかつた...
萩原朔太郎 「宿命」
...幹を支へる蛸(たこ)のやうな枝根の紅樹林の壁が...
林芙美子 「浮雲」
...茹蛸のごとき禿頭をそのまゝ己の芸名とするこの江戸生粋の老芸人はげ亀は...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...憤慨した蛸は今度は寝たふりをしていて相手が食べかけたとたんに海の中へ引き摺り込んでやれと待機していると...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...今太郎君は蛸が自分にかゝつて来たのでない事を知ると...
宮原晃一郎 「動く海底」
...我慢おし」「どこだ」「肴店(さかなだな)の毛抜き鮨(ずし)」「この蛸侍(たこざむらい)を鮨だねに...
吉川英治 「松のや露八」
便利!手書き漢字入力検索