...今しも破蚊帳を法衣(ころも)の樣に纏つて...
石川啄木 「鳥影」
...榎本氏は河鹿(かじか)と違つてひどく蚊と蠅とを好かない...
薄田泣菫 「茶話」
...くはれもす八雲(やくも)旧居の秋の蚊に昭和七年十月八日出雲(いずも)松江...
高浜虚子 「五百句」
...蚊の呻(うな)りさえ耳につくような静かさとが...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...もう蚊帳を吊らなければならなくなつたから...
種田山頭火 「行乞記」
...蚊屋の裾には黒猫が顔を洗っている...
寺田寅彦 「やもり物語」
...「蚊帳をつっちゃいけません...
豊島与志雄 「月明」
...子供の母衣蚊帳の近くに寝そべって...
豊島与志雄 「裸木」
...蚊といふ奴はわるい奴である...
中勘助 「銀の匙」
...電灯は蚊帳を釣るとき消してしまったので...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...何よりもうるさいのは蚊軍の責め苦なり...
林芙美子 「新版 放浪記」
...坐(ざ)には物(もの)の音(おと)もなく酒(さけ)の香(か)したひて寄(よ)りくる蚊(か)のうなり聲(ごゑ)のみ高(たか)く聞(きこ)えぬ...
樋口一葉 「にごりえ」
...蚊鉤釣りといへば主として河鮭と河鱒を釣るのであるが...
平田禿木 「趣味としての読書」
...そのほか衣がへ野路の人はつかに白し蚊の声す忍冬(にんどう)の花散るたびに水かれ/″\蓼(たで)かあらぬか蕎麦か否かのごときあり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...只(ただ)蚊のうるさいのに難渋する...
森鴎外 「金貨」
...蚊も集まって来るので弱りました」「隼人(はやと)に断わりましたか」宇乃は手拭を水でしぼって津多女に渡しながら...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...蚊にくわれたあとが...
吉川英治 「平の将門」
...蚊はあまりいなかったように思う...
和辻哲郎 「巨椋池の蓮」
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