...水を打ったような夜の涼しさと静かさとの中にかすかな虫の音がしていた...
有島武郎 「カインの末裔」
...さらでだに虫の音も絶え果てた冬近い夜の寥(さび)しさに...
石川啄木 「赤痢」
...虫の音も憚からぬ酔うた濁声(だみごゑ)が...
石川啄木 「天鵞絨」
...この虫の音さえきくことができません...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...まことに厠は虫の音によく...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...女が虫の音に聴き入っている感じを出すのだと云って...
谷崎潤一郎 「細雪」
...さらぬだに寂寞(せきばく)たる山中の村はいよ/\しんとして了つて、虫の音と、風の声と、水の流るゝ調べの外には更に何の物音も為(せ)ぬ...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...庭の先で虫の音(ね)がする...
夏目漱石 「三四郎」
...微(かす)かに虫の音(ね)がする...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...虫の音(ね)だと云う分別(ふんべつ)が出た時には...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
......
野口雨情 「螢の燈台」
...鳴いていた虫の音が止んだと思えば...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...軒の下艸(したぐさ)に集(すだ)く虫の音(ね)のみ独り高く聞える...
二葉亭四迷 「浮雲」
...秋のよさというのもまたこうした夜の音楽と虫の音がいっしょに立ち上ってゆく時にあるものだね」と院は大将に向かってお言いになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...寺の境内から虫の音が一(ひ)とかたまりになって...
室生犀星 「三階の家」
...チチチと涼やかに虫の音(ね)がながれ...
吉川英治 「大谷刑部」
...と――その虫の音が...
吉川英治 「篝火の女」
...夜もすがら啼きすだく虫の音は...
吉川英治 「宮本武蔵」
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