...戀のおほくが眠つてる蘭麝(らんじや)に馨(かを)る石の唐櫃(からうど)……オフェリイ姫はなつかしや...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...焚籠(たきこ)めてある蘭麝待(らんじゃたい)の名香...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...蘭麝(らんじゃ)の香が四辺(あたり)に漂っているのも感じられた...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「織成」
...蘭麝(らんじゃ)の香をむんむんとさしながら公主が出て来た...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「蓮花公主」
...蘭麝(らんじゃ)の薫(かお)りなまめかしい奥御殿の生活と云うものを殆ど知らない...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...――――――――夏の面影夢韓紅の花ごろも燃ゆる思とたきこめし蘭麝の名殘匂はせて野薔薇散り浮くいさゝ川流の水は淺くとも深し岸邊の岩がねに結ぶをとめの夏の夢...
土井晩翠 「天地有情」
...蘭麝(らんじゃ)のかおりを立てる刺繍(ししゅう)した小さなハンカチに対して...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...得(え)もいわれぬ蘭麝(らんじゃ)の匂(にお)いが漂うてきた...
中島敦 「悟浄出世」
...「造り花なら蘭麝(らんじゃ)でも焚(た)き込めばなるまい」これは女の申し分だ...
夏目漱石 「一夜」
...女と見しは物の化か細き咽喉(のんど)に呪ひけん世を隔てたる聲立てゝわれに語るは歌か詩か『昔し思へば珠となる睫の露に君の影寫ると見れば碎けたり人つれなくて月を戀ひ月かなしくて吾願果敢なくなりぬ二十年ある夜私かに念ずれば天に迷へる星落ちて闇をつらぬく光り疾く古井の底に響あり陽炎燃ゆる黒髮の長き亂れの化しもせば土に蘭麝の香もあらん露乾(ひ)て菫枯れしより愛...
夏目漱石 「鬼哭寺の一夜」
...母から生まれなかった者こそ幸福だ!(24)地を固め天のめぐりをはじめたお前はなんという痛恨を哀れな胸にあたえたのか?紅玉の唇(くちびる)や蘭麝(らんじゃ)の黒髪(くろかみ)をどれだけ地の底の小筥(こばこ)に入れたのか?25神のように宇宙が自由に出来たらよかったろうに...
オマル・ハイヤーム 'Umar Khaiyam 小川亮作訳 「ルバイヤート」
...蘭麝の薫りたゞならぬといふ代物...
正岡子規 「墓」
...蘭麝(らんじゃ)の薫(かお)りただならぬという代物(しろもの)...
正岡子規 「墓」
...口元……夕闇にほのめく蘭麝(らんじゃ)のかおり……血を見て臆せぬ今の度胸を見届けなかったならば...
夢野久作 「斬られたさに」
......
横瀬夜雨 「花守」
...あの時代の女性はよく伽羅とか蘭麝...
吉川英治 「折々の記」
...ぷうんと蘭麝(らんじゃ)の薫(かお)りがする...
吉川英治 「私本太平記」
...蘭麝(らんじゃ)のかおりなのか伽羅(きゃら)なのか範宴は眩(めま)いを覚えそうになった...
吉川英治 「親鸞」
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