...就中(なかんずく)僕を不快にしたのはマホガニイまがいの椅子やテエブルの少しもあたりの薔薇色の壁と調和を保っていないことだった...
芥川竜之介 「歯車」
...僧人たちの薔薇と百合とで掩はなければならぬ...
ウィリアム・バトラー・イエーツ William Butler Yeats 芥川龍之介訳 「春の心臓」
...いま如何(いか)ならんかの暗き庭隅(にはすみ)の菊や薔薇(さうび)や...
伊東静雄 「詩集夏花」
...人間の歡(よろこび)よりもなほ頼み難い銅色(あかがねいろ)の薔薇(ばら)の花...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...あをざめた僧形の薔薇の花もえあがるやうにあでやかなほこりをつつみ...
大手拓次 「藍色の蟇」
...ここには薔薇色をした微温湯(ぬるまゆ)の噴泉が菫(すみれ)の薫りをくゆらせつつ噴き上っているのであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...そして薔薇(ばら)に埋もれたスパセニアなぞの...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...そのぽってりした薔薇(ばら)いろの頬や...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「可愛い女」
...K子が見舞にもつて来てくれた黄と赤との薔薇が五輪...
徳田秋聲 「浪の音」
...はははは」火鉢の上にさしかざしたる掌(てのひら)にぽうっと薔薇色(ばらいろ)になりし頬を押えつ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...薔薇(ばら)の花でとりまかれた糸杉の丘の周囲では...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...屋根の上に薔薇色(ばらいろ)の反映が見えていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...――今日もカスタニアンと云う黄いろい薔薇(ばら)がざくりと床の間の花瓶(かびん)に差されている...
林芙美子 「晩菊」
...黄金薔薇窃盗で拘留(こうりゅう)ですね...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...薔薇色と白の、浄らかなすがやかな着物で、彼は金筋をつけた侍女の、あらわな赤い腕の上に、まるまるとにおやかに乗っかったまま、牛乳と挽肉をおそろしくどっさりたいらげたり、泣き叫んだりして、あらゆる点で、その本能に身をまかせていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...薔薇は朝毎に水に濡れたまま揺れて来た...
横光利一 「花園の思想」
...側(そば)で花子の踊る日は薔薇(ばら)もそよろと身を揺(ゆす)り花子のやうな振(ふり)をする...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...日を受けた面の淡薔薇色...
和辻哲郎 「享楽人」
便利!手書き漢字入力検索