...薄黒い入道は目を留めて...
泉鏡花 「海異記」
...形は綺麗だが薄黒い土のやうな色をした貝がある...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...突然目の窪が薄黒い洞穴(ほらあな)になっていた...
江戸川乱歩 「悪霊」
...薄黒い水の中に、何か白いものがうごめいていた...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...御影石(みかげいし)の鳥居は薄黒い苔に覆われて...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...薄黒い葉――紅黄青褐とりどりのうつくしさ...
種田山頭火 「夜長ノート」
...薄黒い金色の円(まる)屋根が浮き出していた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...眼の縁の薄黒い隈取りが赤くなった...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...穹窿形(きゅうりゅうけい)の大きな肋骨材(ろっこつざい)が所々に出ている薄黒い長い梁(はり)が一本あって...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...金縁の眼鏡(めがね)と薄黒い口髭(くちひげ)がすぐ眸(ひとみ)に映(うつ)る...
夏目漱石 「虞美人草」
...人の海の湧(わ)き返る薄黒い倫敦(ロンドン)で...
夏目漱石 「虞美人草」
...影の半分は薄黒い...
夏目漱石 「三四郎」
...大きな落ち込んだ彼女の眼の下を薄黒い半円形の暈(かさ)が...
夏目漱石 「道草」
...あの薄黒い丸薬の法書きが?」「それにしても不愍(ふびん)な人間だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...薄黒い隈(くま)を描いて行くのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...大変薄黒いやうな色をしてゐるのである...
北條民雄 「癩を病む青年達」
...遠野! 遠野もやはり薄黒い...
水野葉舟 「遠野へ」
...更けても暗くはならない、此頃(このごろ)の六月の夜(よ)の薄明りの、褪(さ)めたような色の光線にも、また翌日の朝焼けまで微(かす)かに光り止(や)まない、空想的な、不思議に優しい調子の、薄色の夕日の景色にも、また暴風(あらし)の来そうな、薄黒い空の下で、銀鼠色(ぎんねずみいろ)に光っている海にも、また海岸に棲んでいる人民の異様な目にも、どの中にも一種の秘密がある...
ハンス・ランド Hans Land 森鴎外訳 「冬の王」
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