...薄靄(うすもや)ある空に桃の影の紅(くれない)染(そ)み...
泉鏡花 「一景話題」
...忽然(こつぜん)薄靄(うすもや)を排して一大銀輪のヌッと出(い)ずるを望むが如く...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...もう黄昏(たそがれ)の蒼(あお)い薄靄(うすもや)に包まれかけているのである...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...もう黄昏(たそがれ)の蒼い薄靄(うすもや)に包まれかけてゐるのである...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...音楽はすべてのものを薄靄(うすもや)の大気に包み込んで...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...東の空の薄靄の中に...
豊島与志雄 「憑きもの」
...薄靄の上に蒼白い月の光の流れてる谷間の景色が...
豊島与志雄 「道連」
...一面に薄靄のかかった一様な調子(トーン)である...
中谷宇吉郎 「海底の散歩」
...山脈の方の空に薄靄(うすもや)が立ちこめ...
原民喜 「永遠のみどり」
...薄靄の中でぼんやりと聳えているエッフェル塔を見つけると...
久生十蘭 「野萩」
...薄靄のかかった朝の町をジープが飛びあがるように走って行く...
久生十蘭 「復活祭」
...日の暮の薄靄が海面を這ふといふ様な光景である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...薄靄(うすもや)...
別所梅之助 「雪の武石峠」
...薄靄のなかに暈を描き...
牧野信一 「岬の春霞」
...夜は祈りの鐘の音が薄靄の間を縫つて静かに静かに栗の木のふところまで流れて来た...
室生犀星 「愛の詩集」
...こんなに薄靄(うすもや)の日がつづくのは珍らしいことだ」宇乃はゆっくりと頷いた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...矢代は薄靄のかかった森の上にパンテオンのかすんで見える窓の傍まで行き...
横光利一 「旅愁」
...」と千鶴子は笑ってまた晴晴しそうに薄靄のかかった街を眺めた...
横光利一 「旅愁」
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