...……饂飩屋(うどんや)の門(かど)に博多節を弾いたのは、転進(てんじん)をやや縦に、三味線(さみせん)の手を緩めると、撥を逆手(さかて)に、その柄で弾(はじ)くようにして、仄(ほん)のりと、薄赤い、其屋(そこ)の板障子をすらりと開けた...
泉鏡花 「歌行燈」
...カンテラの薄赤い光の中に骨立つた裸の男が光澤の無い皮膚に汗を流しつゝ一昆蟲と奮鬪を爲しつゝある處の圖...
高濱虚子 「續俳諧師」
...その飲食店の硝子戸が夕日に薄赤く染まりかけて来たころ...
太宰治 「花燭」
...爪(つめ)の色も薄赤く...
太宰治 「女類」
...それが底へ薄赤く生生しく溜つた...
田中貢太郎 「蟇の血」
...その光が妹の横顔を薄赤くつら/\と染めて見たが...
田中貢太郎 「黒い蝶」
...埃で覆れた空が薄赤く光を含み...
戸田豊子 「歩む」
...出たばかりの薄赤い穗が鮮かである...
長塚節 「松蟲草」
...さっきの鯉が薄赤く浮葉の下を通る...
夏目漱石 「虞美人草」
...「書生時代よ」「書生時代から先生を知っていらっしゃったんですか」奥さんは急に薄赤い顔をした...
夏目漱石 「こころ」
...しかし薄赤い顔をした奥さんはそれより以上の話をしたくないようだったので...
夏目漱石 「こころ」
...Kの顔は心持薄赤くなりました...
夏目漱石 「こころ」
...まだほんのり薄赤かったのだから...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...」おようさんは顔を薄赤くしながらそう云って何気なさそうな笑い方をした...
堀辰雄 「楡の家」
...桃のやうに薄赤かつた...
牧野信一 「センチメンタル・ドライヴ」
...顏を薄赤くして、眼を細くしてニコニコしているだけで、自分からはほとんど語らず、買つて來たハムを切つたりしている...
三好十郎 「肌の匂い」
...あいつが薄赤い顔をして目を赫(かがや)かしていなくてはならないというのだろうか...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...薄赤い腹を見せてころがったが...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??