...そして薄絹製(うすぎぬせい)の白(しろ)の座布団(ざぶとん)を与(あた)えられて...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...薄絹の雲左右に分れて...
泉鏡花 「悪獣篇」
...蕎麦(そば)の花が薄絹を曳き渡したように白く見える...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...夫々の窓にすき通る様な色薄絹のカーテンがはりつめてあった...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...何だか変です」夫人は云われるまでもなく、薄絹をまくって、寝台に近づき、白い毛布の上から京子の身体をソッと揺り動かした...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...赤い薄絹を身にまとった道化役が...
太宰治 「惜別」
...あるひどい雨の日の昼ごろにたずねて来たときは薄絹にゴムを塗った蝉(せみ)の羽根のような雨外套(あまがいとう)を着ていたが...
寺田寅彦 「B教授の死」
...薄絹を張ったように...
中谷宇吉郎 「大雪山二題」
...何処(どこ)の珈琲店(カフェー)にもある焦茶(こげちゃ)の薄絹を張った...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...輕い薄絹が彼女の顏の上に置かれてある...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...茶色の薄絹のやうな翅を出して...
槇本楠郎 「かぶと虫」
...薄絹に蔽われたような眼を...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神童」
...白き薄絹巻きたる黒帽子をかぶりたる身の構えけだかく...
森鴎外 「文づかい」
...一人薄絹のロオヴの上に恐ろしい様な黒の毛皮の長い襟巻をして...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...石竹色(ピンク)の薄絹から腕を長く出した踊子の露西亜娘が二十人程...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...淡青の色は薄絹の艶を増して...
吉江喬松 「山岳美觀」
...ちょうど書物でもくるんである程な大きさに見える包の中には、薄絹で作った、忍びの黒衣(くろご)に、土のついた伊賀流の布わらじが一足、そして、その下に秘(かく)してあったのは、樟板(くすいた)の秘図の半分であります...
吉川英治 「江戸三国志」
...薄絹張りの行燈に照らされて...
吉川英治 「剣難女難」
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