...新公は薄暗い棚の上の猫から...
芥川龍之介 「お富の貞操」
...彼は薄暗い電灯の光に黄檗(おうばく)の一行ものを眺めたまま...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...薄暗い行燈(あんどう)をともした土蔵に誰か人の起きてゐるらしい物音が聞えるのでございます...
芥川龍之介 「雛」
...小屋の内に這入(はい)って見ると、薄暗い、片すみに、二升鍋が一個と碗(わん)が五つ六つ、これは上高地温泉で登山者のためとて、備品として置かれたもの、今後この小屋で休泊するものは、大いに便利だろう、何か適法を設け、各処の小屋の修理や食器等の備え付をしたいものだ...
鵜殿正雄 「穂高岳槍ヶ岳縦走記」
...ますます稀だ」定助は薄暗い光りに正造の様子をまじまじと見つめつつ...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...月の光のやうな薄暗い灯の点いた室で女と寝そべつて話してゐる自分に気が注いた...
田中貢太郎 「雑木林の中」
...その薄暗い奥の方から...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...薄暗い狭苦しい土間の方が...
豊島与志雄 「悪夢」
...彼女は薄暗い中で大きな瞬きを一つして云った...
豊島与志雄 「反抗」
...中世の最も薄暗い投影の一つである...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...一座喜びにあふれてる中にあってその薄暗い一隅(いちぐう)などは何でもないことだった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...薄暗い廊下に、もう二人の侍が立っていた...
直木三十五 「南国太平記」
...中には薄暗い行灯(あんどん)の蔭に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...曇った薄暗い肌(はだ)寒い時刻だった...
原民喜 「冬日記」
...根茎が纏繞(てんじょう)植物のように絡み合っている薄暗い岸に上陸し...
久生十蘭 「地底獣国」
...ある薄暗い雨の降る冬の午後だった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...日の輝く広野の嬉戯よりも薄暗い小屋の孤独を欲するような頃がやって来た...
三木清 「語られざる哲学」
...横二尺縦五寸ほどの細長い窓が三つあるきりで薄暗い...
横光利一 「旅愁」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??