...さうすると人間は薄情なもので...
芥川龍之介 「杜子春」
...」「いつ、私が、薄情な、」と口惜(くや)しく屹(きっ)となる処を、酒井の剣幕が烈(はげし)いので、悄(しお)れて声が霑(うる)んだのである...
泉鏡花 「婦系図」
...必らずしも女が戀しいのではない、然し再び女を思ひ出すと、そんな薄情な、無感覺な女風情(ふぜい)を戀したのが殘念なのだ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...人間って薄情なものだ...
太宰治 「新釈諸国噺」
...薄情な男にとりついたり祟(たた)ったりする」「やあ...
中里介山 「大菩薩峠」
...色気のない泣き方であるだけ、それだけ、兵馬をしていよいよ迷惑がらせていると、「あなたまでが、わたしを袖にして、寄りついても下さらないことが悲しうございます、寄りついて下さらないばっかりか、あなたまでがわたしを置去りにして逃げてしまおうとなさる、あんまり薄情な、あんまり御卑怯な、あんまり情けなくて、わたしは……」と福松が、また、わあっわあっとばかりに泣き落しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...そんな薄情な方じゃございません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...薄情なところがあって...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...赤合羽に包んで雪の中へ捨てるやうなそんな薄情な家へ誰が歸るものか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...辰三郎 薄情な男をよく忘れないで...
長谷川伸 「一本刀土俵入 二幕五場」
...薄情なことを知ッたから...
広津柳浪 「今戸心中」
...君が少しばかり薄情なことを責めなければならなくなつた...
堀辰雄 「馬車を待つ間」
...そんねえにむげえ薄情なもんでがすかえ? そんねえに...
三好十郎 「斬られの仙太」
...そんねえにむげえ薄情なもんでがすかえ? そんねえに……...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...薄情な肩先きを尖がらして砂道を旅館街の方に向いて行つた...
室生犀星 「神のない子」
...薄情なようだが諦(あきら)めよう...
山本周五郎 「柳橋物語」
...見物人という奴は劇場関係者(こやもの)よりもモット薄情な...
夢野久作 「二重心臓」
...私は彼らの眼に冷淡な薄情な男として映るのです...
和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
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