...話の割合には薄っぺらな白い西洋封筒に入ったものを持って梅ヶ枝女史の前に飛んできた...
海野十三 「軍用鼠」
...急製の薄っぺらな鍵を...
海野十三 「夜泣き鉄骨」
...それとも薄っぺらな詩人先生でも通りかかったら...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「熊」
...しばしばその真相そのものがあまりにも薄っぺらで陳腐なものであるため...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「患者兼同居人」
...薄っぺらな胸で喘ぐような息をし...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...ことごとく押絵細工同様の薄っぺらなものであるところへ...
中里介山 「大菩薩峠」
...「これは日蓮自身もいっています――世には王に悪(にく)まるれば民に悪まれない、僧に悪まれる時は俗に味方がある、男に悪まれても女には好まれ、愚痴の人が悪めば智人が愛するといったふうに、どちらかに味方があるものだが、日蓮のように、すべて悪(にく)まれる者は、前代未聞にして後代にあるべしともおぼえず……生年三十二より今年五十四に至るまで、二十余年の間、或いは寺を追い出され、或いは所を追われ、或いは親類を煩(わずら)わされ、或いは夜打ちにあい、或いは合戦にあい、或いは悪口(あっこう)かずを知らず、或いは打たれ、或いは手を負う、或いは弟子を殺され、或いは首を切られんとし、或いは流罪(るざい)両度に及べり、二十余年が間、一時片時も心安き事なし――『日本国ハ皆日蓮ガ敵トナルベシ――恐レテ是ヲ云ハズンバ、地獄ニ落チテ閻魔(えんま)ノ責ヲバ如何(いかん)セン――』これですから堪りません、悪(にく)まれます――しかし、駒井さん、薄っぺらの、雷同の、人気取りの、おたいこ持ちの、日和見(ひよりみ)の、風吹き次第の、小股すくいの、あやつりの、小人雑輩の、紛々擾々(ふんぷんじょうじょう)たる中へ、これだけの悪まれ者を産み出した安房の国の海は光栄です...
中里介山 「大菩薩峠」
...こんな薄っぺらなものじゃなかったよ――だから...
中里介山 「大菩薩峠」
...自身の薄っぺらな腸(はらわた)を見せつけているようでイヤだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...その薄っぺらな板のようなものが短冊(たんざく)というものであることを認めることによって...
中里介山 「大菩薩峠」
...ベーコンには気の毒なくらい薄っぺらな粗末な仮綴(かりとじ)である...
夏目漱石 「三四郎」
...机の前には薄っぺらなメリンスの座布団(ざぶとん)があって...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...いよいよ薄っぺらになるばかりであって...
新渡戸稲造 「今世風の教育」
...お道のおしゃれで薄っぺらなのがだんだん嫌になったのさ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...是が非でも愛一郎の死体をあげようと、ひとり漁船に残って、夜ふけまで錨繩(いかりなわ)をひいていた、真実あふるるごとき所為を思うと、じぶんのしたことなどは、薄っぺらで、目もあてられないような気持がしてきたので、きょうまでのことを、のこらず中村に話した...
久生十蘭 「あなたも私も」
...日本人(私をもふくめて)の薄っぺらさだ...
三好十郎 「恐怖の季節」
...薄っぺらで毒々しいかは前に述べた...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...飛行機の風よけ――全て余りに薄っぺらく不適切な状態で残されているようだった――の一つは粉砕されており...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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