...何という薄っぺらな心境であろう...
種田山頭火 「最近の感想」
...つい近頃本屋の棚で薄っぺらな「インゼル・ビュフェライ叢書」をひやかしていたら...
寺田寅彦 「変った話」
...骨立った薄っぺらな固い感じがした...
豊島与志雄 「裸木」
...痩せた薄っぺらな胸と肩とで息をしてる...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...「これは日蓮自身もいっています――世には王に悪(にく)まるれば民に悪まれない、僧に悪まれる時は俗に味方がある、男に悪まれても女には好まれ、愚痴の人が悪めば智人が愛するといったふうに、どちらかに味方があるものだが、日蓮のように、すべて悪(にく)まれる者は、前代未聞にして後代にあるべしともおぼえず……生年三十二より今年五十四に至るまで、二十余年の間、或いは寺を追い出され、或いは所を追われ、或いは親類を煩(わずら)わされ、或いは夜打ちにあい、或いは合戦にあい、或いは悪口(あっこう)かずを知らず、或いは打たれ、或いは手を負う、或いは弟子を殺され、或いは首を切られんとし、或いは流罪(るざい)両度に及べり、二十余年が間、一時片時も心安き事なし――『日本国ハ皆日蓮ガ敵トナルベシ――恐レテ是ヲ云ハズンバ、地獄ニ落チテ閻魔(えんま)ノ責ヲバ如何(いかん)セン――』これですから堪りません、悪(にく)まれます――しかし、駒井さん、薄っぺらの、雷同の、人気取りの、おたいこ持ちの、日和見(ひよりみ)の、風吹き次第の、小股すくいの、あやつりの、小人雑輩の、紛々擾々(ふんぷんじょうじょう)たる中へ、これだけの悪まれ者を産み出した安房の国の海は光栄です...
中里介山 「大菩薩峠」
...メラメラと薄っぺらな舌も出さず...
中里介山 「大菩薩峠」
...今のところは薄っぺらな人気の煽動でどうでもなるんだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...薄っぺらなうつしえの実演をやりつづけているそうだが...
中里介山 「大菩薩峠」
...あたし見たいに薄っぺらなものは...
夏目漱石 「明暗」
...それにお艶と同じ屋根の下で暮して居るだけに、このお預けは骨身にこたえますよ、薄っぺらで、男のくせにおしゃべりで、ちょいと良い男でもありますが、近頃少し気が変になって居るんじゃ無いか――と、これは下女のお六の見立てですがね」「何んか変なことでもあるのか」「許婚(いいなずけ)の娘にこき使われて、色文の使いまでさせられるんだから、正気の沙汰じゃありませんね――もっとも親兄弟もなく、身寄も無くて、江島屋に引取られて育った人間だと言うから、腹を立てて飛出したところで、行く当ても無いことでしょう、――これがあっしなら、お艶をさらって山の中へでも逃げ込み、思う存分苦労をさしてやるが」「物騒なことを考える奴だな、お前は」「大丈夫ですよ、あっしには許婚も何んにもありゃしません」「それっ切りだったな」「もう一人、江島屋の下男の幹助(みきすけ)、あれは良い男ですね、色が赤黒くて、恐ろしく達者で、秩父山中から生捕って来た熊の子みてえな野郎ですが、無口で無愛想で、お嬢さんのお艶に白い歯も見せないのは、あの男ばかりですよ」「性分だろう」「そのくせ、あっしなんかには当りがよくて、最初から馬が合いましたよ、何んだってそんなにお嬢さんに素気なくするのかと訊くと、女の高慢なのと坊主の腰の低いのは大嫌いだって言やがる」「それじゃ、お嬢さんを綺麗だとは思わないかと訊くと、――梨でも桃でも、虫が付くと不思議に綺麗になる――って言やがる、皮肉な野郎ですね」「生れは?」「あんなのは間違いもなく信濃者ですよ」「下女のお六は」「相模女で、あんなに慾の皮の突っ張ったのは、場違いですね、あの女は三十両は溜めているに違えねえという評判ですよ」「外には?」「主人の鹿右衛門は、上へ馬という字の付く方」「何んだえそれは?」「馬鹿右衛門とね、内儀のお浅はちょっと良い大年増で、気象者で、利巧で、少し扱い憎い方でしょうな」「ところで、そのうち、誰が一体三之助殺しの下手人だと思う」平次は八五郎に訊くのではなくて、以上の報告から自分の結論を引出そうとして居る様子です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...気障(きざ)で薄っぺらで鼻持ちがならない...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...枕元から薄っぺらな仏蘭西(フランス)語の本をとりあげると...
久生十蘭 「キャラコさん」
...今度の狂言は、薄っぺらで、大したことはなかったのだが、初めに狙った盆興行といふところの成功だった...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...薄っぺらの新聞を開いた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...勿論薄っぺらなものではあったが...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...手軽に自己批判や反省できる事を見越して薄っぺらな腹のすわらない事を行ないつづけるならば...
三好十郎 「恐怖の季節」
...我々の世紀に至ってよくよく薄っぺらなものになり果てたものと考えざるをえない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...薄っぺらで毒々しいかは前に述べた...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
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