...余りに薄っぺらに光りすぎる...
芥川龍之介 「大川の水」
...そんな薄っぺらなものではない...
佐野昌一 「虫喰い算大会」
...こんな薄っぺらなものが噴出されたとしても...
寺田寅彦 「小浅間」
...しばしばその真相そのものがあまりにも薄っぺらで陳腐なものであるため...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「患者兼同居人」
...きわめて薄っぺらな地であった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...何もかも薄っぺらになっちゃいましてね……...
豊島与志雄 「田園の幻」
...薄っぺらな蒲団、二三枚の着物、セルの袴、七八冊のノート、粗末な古机、前年から持ち越しのソフト帽、などが彼の所有の全部だった...
豊島与志雄 「反抗」
...こんな薄っぺらなものじゃなかったよ――だから...
中里介山 「大菩薩峠」
...今のところは薄っぺらな人気の煽動でどうでもなるんだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...誠に薄っぺらな感じのものになるらしいことは...
中谷宇吉郎 「映画を作る話」
...さっきから手垢(てあか)のついた薄っぺらな本を見ていた松さんが急に大きな声を出して面白い事がかいてあらあ...
夏目漱石 「琴のそら音」
...それにお艶と同じ屋根の下で暮して居るだけに、このお預けは骨身にこたえますよ、薄っぺらで、男のくせにおしゃべりで、ちょいと良い男でもありますが、近頃少し気が変になって居るんじゃ無いか――と、これは下女のお六の見立てですがね」「何んか変なことでもあるのか」「許婚(いいなずけ)の娘にこき使われて、色文の使いまでさせられるんだから、正気の沙汰じゃありませんね――もっとも親兄弟もなく、身寄も無くて、江島屋に引取られて育った人間だと言うから、腹を立てて飛出したところで、行く当ても無いことでしょう、――これがあっしなら、お艶をさらって山の中へでも逃げ込み、思う存分苦労をさしてやるが」「物騒なことを考える奴だな、お前は」「大丈夫ですよ、あっしには許婚も何んにもありゃしません」「それっ切りだったな」「もう一人、江島屋の下男の幹助(みきすけ)、あれは良い男ですね、色が赤黒くて、恐ろしく達者で、秩父山中から生捕って来た熊の子みてえな野郎ですが、無口で無愛想で、お嬢さんのお艶に白い歯も見せないのは、あの男ばかりですよ」「性分だろう」「そのくせ、あっしなんかには当りがよくて、最初から馬が合いましたよ、何んだってそんなにお嬢さんに素気なくするのかと訊くと、女の高慢なのと坊主の腰の低いのは大嫌いだって言やがる」「それじゃ、お嬢さんを綺麗だとは思わないかと訊くと、――梨でも桃でも、虫が付くと不思議に綺麗になる――って言やがる、皮肉な野郎ですね」「生れは?」「あんなのは間違いもなく信濃者ですよ」「下女のお六は」「相模女で、あんなに慾の皮の突っ張ったのは、場違いですね、あの女は三十両は溜めているに違えねえという評判ですよ」「外には?」「主人の鹿右衛門は、上へ馬という字の付く方」「何んだえそれは?」「馬鹿右衛門とね、内儀のお浅はちょっと良い大年増で、気象者で、利巧で、少し扱い憎い方でしょうな」「ところで、そのうち、誰が一体三之助殺しの下手人だと思う」平次は八五郎に訊くのではなくて、以上の報告から自分の結論を引出そうとして居る様子です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...悪く新しがった薄っぺらなところ...
久生十蘭 「猪鹿蝶」
...薄っぺらな蒲団を敷いて...
久生十蘭 「キャラコさん」
...単なる人間のさもしい友情や薄っぺらな信義をしばしば嘗(な)めたことのある人の心をじかに打つなにものかがある...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「黒猫」
...彼らは薄っぺらなその教科書をひきずりだす...
本庄陸男 「白い壁」
...手軽に自己批判や反省できる事を見越して薄っぺらな腹のすわらない事を行ないつづけるならば...
三好十郎 「恐怖の季節」
...飛行機の風よけ――全て余りに薄っぺらく不適切な状態で残されているようだった――の一つは粉砕されており...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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