...薄々ながら二人の関係を感づいていた母親には...
芥川龍之介 「妖婆」
...札幌の貧民窟と云はれるその界隈(かいわい)で流行(はや)り出した赤痢と云ふ恐ろしい病気の事を薄々気味悪くは思ひながら...
有島武郎 「お末の死」
...薄々娘との関係を感付かぬでもなかったので...
江見水蔭 「備前天一坊」
...錢形の平次も薄々知らないことではありませんでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...薄々平次の息が掛っているとは思いましたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――でも、死んだ当座は本当に気の毒だと思いましたよ」「生きて還ったと聞いたら、憎くなったろう」「ヘエ――」「その千之助は、江の島の崖から落ちたのは怪我や過ちじゃなくて、闇の中で人に突き落されたんだって言ってるが、どうだ」「そんな事を私は知りゃしません」「だから、死んだ後でうまい事をした奴が、私を突き落したに違いない――と千之助は言うんだが」「…………」「その上、自分を突き落した奴を、薄々知っている...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...堂の中は薄々見えないことはありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...町内の者に見付けられて――いや大変でしたよ」「フーム」平次も薄々それは聞いておりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...番頭の佐助もその辺のことを薄々は知っていたようで――」「お桃さんがね」平次は妙に裏切られたような心持でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...薄々は知って居られた...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お縫は薄々喜三郎の態度の變化には氣が附いて居たのですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...彌生をモデルにしてゐることは薄々隱岐も知つてゐたから...
牧野信一 「痴日」
...おやじどん」そっと、話しかけると、「おう、まだ寝ないのか」「毎晩、御苦労様ですね」「何さ、馴れッこだ」「卯平ってえ、御船蔵の方の番人に、薄々、噂を聞きましたが、伝馬牢の御牢番もなかなか、何年勤めても、楽にゃ行かねえそうですね」「生活の方かね」「ま、その懐中(ふところ)で」「それや、牢番と来たひにゃ、お菰(こも)よりゃ増しくらいなものだからな...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...朝夕、そばに仕えている身、ここへ来ての高氏の人間的な変化にも、「はてな?」と思わせられた例は一再でないし、薄々には、とうに意中も察していたのだった...
吉川英治 「私本太平記」
...それがどうして、薄々にも、宮方と分っている近郷の若武士どもから、師と慕われておいでなのか...
吉川英治 「私本太平記」
...ひところ、院の内や、京わらべの口の端(は)に、二人の浮名が、かしましく取沙汰された当時のことは、薄々だが、彼の記憶にも残っている...
吉川英治 「私本太平記」
...「いま思うと、あいつは薄々、毒酒を感づいていたのかも知れんぞ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...おれも薄々知っていた』『そうか...
吉川英治 「夏虫行燈」
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