...薄野(すすきの)からの歸り足をまた渠(かれ)の下宿へ向けた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...幸徳を始め大勢拘引されたということは薄々聞いていた...
大杉栄 「獄中記」
...蝋燭四本の物なら二本へらして薄ぐらくして置く...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...ところが十一月になってスクリューを失った一艘の薄ぎたない船が漁船に引かれて横浜(よこはま)へ入港した...
寺田寅彦 「北氷洋の氷の割れる音」
...両頬は下殺(げっそり)し顎(あご)にチリチリしたる薄き蒼髯(あおひげ)乱れ生じ...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...人間直観層の稀薄化...
中原中也 「近頃芸術の不振を論ず」
...二人の気持を薄々読んだ客――この祝言は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...吾妻屋さんに身請(みうけ)された二代目の薄墨華魁が見付けて来て...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...山脈の方の空に薄靄(うすもや)が立ちこめ...
原民喜 「永遠のみどり」
...高腕を組んで薄陽を流す内港(プール)の風景を漠然と眺めやった...
久生十蘭 「ノア」
...そのころ阪井はいつもにやにやと薄笑いをし...
久生十蘭 「ハムレット」
...彼等は大変身勝手(みがって)な、薄情な人達で、貧乏な人達を憐れみもしなければ、家のない人達に同情もしませんでした...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...薄気味悪いことには...
牧野信一 「蝉」
...々たる月光の薄霞みの中で々たる月光の薄霞みの中で直ぐに消へた...
牧野信一 「痴想」
...薄暗いスタンドの明りの中で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...薄荷ソースは酢(す)を十杯に砂糖二杯に薄荷の刻んだのを四杯入れて混ぜた冷いソースです」大原「実にどうも今日の御馳走で三年も生延(いきの)びるようです...
村井弦斎 「食道楽」
...俊基がそんな軽薄ではないにしろ...
吉川英治 「私本太平記」
...豊かに浅黒いその頬に薄あばたのあるのが世間並にいえば瑕(きず)である...
吉川英治 「宮本武蔵」
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