...それは北海道にも珍らしく五月雨(さみだれ)じみた長雨がじと/\と薄ら寒く降り続いた六月半ばの事だつた...
有島武郎 「お末の死」
...忰(せがれ)が学士だ先生だというのでも、大略(あらまし)知れた年紀(とし)は争われず、髪は薄いが、櫛にてらてらと艶(つや)が見えた...
泉鏡花 「婦系図」
...自分に關係の薄いものは...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その小さな女中がきらきら光る眼で私をちらと眺めてそこらの薄暗がりに消えてしまった...
梅崎春生 「風宴」
...長さ短かさ出張り方、円さ、厚さ薄さ...
高村光太郎 「人の首」
...薄暗い校長室へ行き...
太宰治 「みみずく通信」
...その妙にだだっ広い額、鼻筋の低い鼻、薄い髪の毛、ゆるんだ唇、もうそれで沢山だ!彼はつと立ち上って、窓に凭れて外を眺めた...
豊島与志雄 「球突場の一隅」
...夫のために働くのだということから羞耻(しゅうち)の念が薄らいで...
永井荷風 「ひかげの花」
...これは白い薄雲が月にかかったときに見えるのと似たようなものです」...
中谷宇吉郎 「「茶碗の湯」のことなど」
...さすがに薄暗い梁の上までは気が付かなかったのでしょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...茶の湯生花歌へえけえ――諸芸に達して親孝行で」「大変なことだね」「この薄墨華魁に入れあげて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そう来なくちゃ――お蔭で薄墨華魁の元服姿が拝めるというものだ」「馬鹿だなァ」平次は大きく舌打をしながら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...枯れ薄に埋もれた横長の建物の玄関を入ると...
久生十蘭 「蝶の絵」
...薄黒い町の屋根は...
水野葉舟 「帰途」
...薄い袋に入れた三升ばかりの血液に過ぎない...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...火口から立ちのぼる薄い煙をみつめながら...
山本周五郎 「失蝶記」
...薄板の隔膜と反故紙(ほごがみ)の腸があらわれた...
夢野久作 「微笑」
...礼をとらせてみせるであろう」ときすでに薄暮(はくぼ)であり...
吉川英治 「新書太閤記」
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