...自分は最後にこの二篇の蕪雑(ぶざつ)な印象記を井川恭氏に献じて自分が同氏に負っている感謝をわずかでも表したいと思うことを附記しておく(おわり)(大正四年八月)...
芥川龍之介 「松江印象記」
...現在の日常語は詩語としてはあまりに蕪雑(ぶざつ)である...
石川啄木 「弓町より」
...いやいやながらに怠け怠けてやっていたような蕪雑な粗漏のないことを信じて安心している...
大杉栄 「獄中消息」
...私は哈爾賓の持つ蕪雑(ぶざつ)な詩趣を愛する...
谷譲次 「踊る地平線」
...匆卒(そうそつ)の間に筆を執ったためにはなはだ不秩序で蕪雑(ぶざつ)な随感録になってしまったが...
寺田寅彦 「耳と目」
...わたしはどうかしてこの野卑蕪雑(ぶざつ)なデアルの文体を排棄(はいき)しようと思いながら多年の陋習(ろうしゅう)遂に改むるによしなく空しく紅葉(こうよう)一葉(いちよう)の如き文才なきを歎(たん)じている次第であるノデアル...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...この蕪雑(ぶざつ)なる研究の一章は審(つまびらか)に役者絵の沿革を説明せんと欲するよりも...
永井荷風 「江戸芸術論」
...江戸伝来の趣味性は九州の足軽風情(ふぜい)が経営した俗悪蕪雑(ぶざつ)な「明治」と一致する事が出来ず...
永井荷風 「深川の唄」
...之を目にすればいつとはなく野卑蕪雑の文辞に馴れ浅陋軽薄の気風に染むに至ればなり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...自分にだつて「秘蔵の物」「他人の手に触れられたくないもの」「いくら斯んなに蕪雑な生活をしてゐたつて...
牧野信一 「鏡地獄」
...この蕪雑な私の文章にも多少のうるみが生じ...
牧野信一 「環魚洞風景」
...可笑しい程、蕪雑に震えた...
牧野信一 「冬の風鈴」
...満座の中で大欠伸するほどの大胆蕪雑の振舞はなし得ず...
正岡容 「浅草燈籠」
...蕪雑な批評で安んじるような傾向が決して無いとは云われなかったのである...
宮本百合子 「概念と心其もの」
...もし此の様な蕪雑な言葉が教えると言うことに当るならば...
三好十郎 「俳優への手紙」
...今日より見れば随分蕪雑(ぶざつ)なる或者はアホダラ経に似たる当時より見れば...
山路愛山 「明治文学史」
...」逆さに椅子をテーブルの上に積み上げたあたりのカフェーの蕪雑さを眺めまわして塩野は云った...
横光利一 「旅愁」
...自分の漢詩は短歌よりも更に蕪雑なものばかりである...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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