...或はその蕪雑な所に...
芥川龍之介 「上海游記」
...自分は最後にこの二篇の蕪雑(ぶざつ)な印象記を井川恭氏に献じて自分が同氏に負っている感謝をわずかでも表したいと思うことを附記しておく(おわり)(大正四年八月)...
芥川龍之介 「松江印象記」
...現代の日常語は詩語としては余りに蕪雑(ぶざつ)である...
石川啄木 「弓町より」
...蕪雑(ぶざつ)に落ちつきの悪い県道となっていた...
伊藤左千夫 「落穂」
...その中に彼女の人生並に人事に対する見解が彼女の周囲の如く平凡、狭隘、蕪雑になる、よし彼女がグヅでくだらなく、口やかましく、おしやべりで堪へがたく遂に男を家庭から運び出すやうになつても少しも不思議はない...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「結婚と恋愛」
...私は哈爾賓の持つ蕪雑(ぶざつ)な詩趣を愛する...
谷譲次 「踊る地平線」
...そのロンドンらしい「遵奉されたる蕪雑(ぶざつ)さ」において...
谷譲次 「踊る地平線」
...しかしあまりにも無作法にこの特権を濫用したこの蕪雑(ぶざつ)なる一編の放言に対しては読者の寛容を祈る次第である...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...却って一つのより蕪雑な概念――作用という――を用いて同語反覆するに過ぎないであろう...
戸坂潤 「科学方法論」
...甚だ蕪雑な概念をしか持っていないのである...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...現時の放漫蕪雑(ぶざつ)な共産主義によって精神的孤立の犯される苦しみ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...わたしはどうかしてこの野卑蕪雑(ぶざつ)なデアルの文体を排棄(はいき)しようと思いながら多年の陋習(ろうしゅう)遂に改むるによしなく空しく紅葉(こうよう)一葉(いちよう)の如き文才なきを歎(たん)じている次第であるノデアル...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...自分にだつて「秘蔵の物」「他人の手に触れられたくないもの」「いくら斯んなに蕪雑な生活をしてゐたつて...
牧野信一 「鏡地獄」
...芭蕉の紀行はどれも、多少の感傷的の味ひがあるだけで、概して蕪雑で、印象的でも描写的でもないのである...
正宗白鳥 「月を見ながら」
...この蕪雑(ぶざつ)な現実の世界に吾々の身に仕え心を慰めようとて生れたるもの...
柳宗悦 「工藝の道」
...この蕪雑(ぶざつ)な現(うつ)し世(よ)も...
柳宗悦 「民藝四十年」
...自分の漢詩は短歌よりも更に蕪雑なものばかりである...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...以上蕪雑なる一文を敢へて草したわけである...
淀野隆三 「横光さんと梶井君」
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