...茎の長い蕗(ふき)をかざしてゐる...
芥川龍之介 「点心」
...六珊瑚樹垣(さんごじゅがき)の根には蕗(ふき)の薹(とう)が無邪気に伸びて花を咲きかけている...
伊藤左千夫 「春の潮」
...蕗屋はふとそれに気附くと...
江戸川乱歩 「心理試験」
...蕗の薹は辛辣な皮肉家だけに...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...其傍(かたわ)らに蕗(ふき)の多く生えたるあり...
関寛 「関牧塲創業記事」
...そこへ哀しい人間がきた・考へつつ出来た御飯が生煮で・梅雨晴ごし/\トラツクを洗ふ親も子も田を植ゑる孫も泥をふむ・まづしいけれどもよい雨の糸瓜を植ゑる・とんぼつるめばてふてふもつれるま昼のひかり・煮る蕗のほろにがさにもおばあさんのおもかげ・障子をたたくは夏の虫・蠅もおちつかない二人のあいだ・みんないんでしまうより虫が鳴きだした・雑草のなか蛙のなかや明け暮れて昼も蚊がくるうつくしい蚊六月廿四日晴...
種田山頭火 「行乞記」
...・ひなたの葉をひろげてやる(秋田蕗移植)・若葉しづもりまんまるい月が・ゆふべひとときはさびしい若葉で五月十日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...今日も蕗を煮た、そのほろにがさは何ともいへないうまさだ、此頃が蕗の旬だらう...
種田山頭火 「其中日記」
...・なづなやはこべや春ふかく蝶も出てゐる昔ながらの松並木・松風春風振袖ひらひらさせてくる(自転車)よせてはかへす白波のなごやかな三人・椎の若葉のもりあがる空は雲なし・道ははるかな松蝉が鳴きだしたのびのびと寝せていただいて鼠のさわぎまはるのもまつたく雲がないピントをあはせる爆音むくむく雲わく野蕗居小松四五本みどりして奥さんはお留守・声高くお話することもいくねんぶりの春鉢植たくさん子供たくさんの春四月廿四日晴、春寒、風、野蕗居滞在...
種田山頭火 「旅日記」
...ゆくりなくも蕗のとうを見つけた...
種田山頭火 「松山日記」
...菊よりも早く石蕗(つは)の花がさき...
永井荷風 「蟲の聲」
...彼(かれ)はどうしても斷念(だんねん)せねばならぬ心(こゝろ)の苦(くる)しみを紛(まぎ)らす爲(ため)に蕗(ふき)の葉(は)や桑(くは)の葉(は)を干(ほ)して煙管(きせる)の火皿(ひざら)につめて見(み)たが...
長塚節 「土」
...蕗(ふき)の葉まで捨てることはなかった...
山本周五郎 「季節のない街」
...むすめの蕗とやらも...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...……おおお蕗どの」思わず立って...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...お蕗どのですと?」さむらいは穴のあくほど見ていたが...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...お蕗(ふき)が、そこへ呼ばれたのは、時刻にして、もう丑(うし)の頃(ころ)に近かった...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...お蕗(ふき)の母子(おやこ)も見えている...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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