...地帯一帯を蔽う、くぬぎ林は、ハヤシの如くしずまりかえっているし、はき溜(だめ)を置いてあるでなし、ドブ板があるでなし、リーヤ・カーが置きっ放しになっているではなし、ましてやネオンサインも看板もない...
海野十三 「第四次元の男」
...そして彼は目を両手で蔽うと...
海野十三 「地球発狂事件」
...なお青春のかがやかしさはその暗さを蔽うてしまう...
大島亮吉 「涸沢の岩小屋のある夜のこと」
...ドレスは脚を蔽うにたりるだけの長さもなかった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...彼女の肩を蔽うているつや/\しい黒髪と...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...――蓋し理論のかの停滞性及び矛盾性(被批判性)を蔽うためには...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...たといこの規定が学問性全体を蔽うのでなくても...
戸坂潤 「科学方法論」
...情意的なもの芸術的・道徳的・等々・のものを蔽うならば...
戸坂潤 「認識論とは何か」
...曇ったまま澄みきった暗い空が蔽うていた...
豊島与志雄 「囚われ」
...一団の黒雲がにわかに太陽を蔽うた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...大木の枝はいくえにも頭上を蔽うて空とぶ鳥もこの姿を見ないであろう...
中勘助 「島守」
...蕩子のその醜行を蔽うに詩文の美を借来らん事を欲するのも古今また相同じである...
永井荷風 「梅雨晴」
...遥かなる過去の一時期に西は埃及(エジプト)から東は米大陸に至るまでの広汎(こうはん)な地域を蔽うた共通の「古代文明の存在」を仮定する...
中島敦 「環礁」
...ハンカチで顔を蔽うと同時に肩をすぼめて戦(おのの)かしながら...
夢野久作 「暗黒公使」
...死の影は全くゴンクール氏を蔽うてしまった...
夢野久作 「暗黒公使」
...その前にペタリと坐って両手で顔を蔽うた...
夢野久作 「継子」
...自己の罪を蔽うために...
吉川英治 「三国志」
...忽ち半城を蔽うばかりの火勢となった...
吉川英治 「新書太閤記」
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