...窓も蔽うほど枝垂れていますから...
芥川龍之介 「妖婆」
...忽ちに成長して全園を蔽うに至り...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...遂に暗黒悉く去って光明全視界を蔽う処まで至るがヨブ記の経過である...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...氷は北緯五十度まで、及び南緯五十度まで、蔽うに過ぎない...
海野十三 「予報省告示」
...下はまた五六丈の巖を蔽うて下る...
大町桂月 「十和田湖」
...夜はうたがいもなくこの栄光ある造化の一部分を蔽う...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...アフリカのコンゴー河口に近い海岸で一夜に降る露の量は地面を一分(ぶ)ほどの深さに蔽うに足るという...
寺田寅彦 「歳時記新註」
...手錠のかかった両手で顔を蔽うた...
コナン・ドイル 三上於莵吉訳 「暗号舞踏人の謎」
...世論と公衆とは相蔽う概念ではない...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...或は日明を蔽う蝕魔の翳(かげ)であるかも知れない...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...私は横向きに枕を抱くようにして、両袖で顔を蔽う...
豊島与志雄 「聖女人像」
...掌で顔を蔽うと、身体をふるわして泣きだした...
久生十蘭 「金狼」
...支え切れなくなったと見えて両手の掌(たなごころ)で顔を蔽うと...
久生十蘭 「魔都」
...――心の視力を蔽うていた翳(かすみ)――χλυ※πρ※νπ※εν4がとれ...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「群集の人」
...二人の目がそそがれるあたりに立った人影は、年のころ、五十あまり、鬢髪(びんぱつ)はそそげ、肩先は削(そ)げおとろえ、指先が鉤(かぎ)のように曲った、亡霊にも似た男――「おのれ! 三郎兵衛、ようも、子飼いの恩を忘れ、土部奉行や、浜川、横山、これなる広海屋と腹を合せ、わが松浦屋を亡ぼしたな――ようもようも、むつきの上から拾い上げ、手塩にかけて育てたわしの恩を忘れ、編笠一蓋(あみがさいちがい)、累代(るいだい)の家から追い出したな! おのれ、そのうらみを、やわか、やわか、忘れようか!」と、一足、すすめば、「うわあ! おゆるし下され、おゆるし下され、わたくしがわるうござりました」と、長崎屋は、広海屋にすがりつきながら、手を蔽う...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...曾呂利新左衛門が紙袋に米を一杯といって倉庫を蔽うほどの袋を作ったとかいう伝説などあるのも...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...黒煙は天を蔽うて凄い...
山本笑月 「明治世相百話」
...袂で顔を蔽うてしくしくと泣いた...
吉井勇 「酔狂録」
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