...森蔭に壁の崩れた家屋が残っているかと思えば...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...今日は雨が降ったお蔭で一日暇が貰えたということになれば本当に満足する...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...枇杷(びわ)の木蔭(こかげ)に蹲踞(しゃが)んで...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...木蔭(こかげ)のロハ台に...
徳田秋声 「縮図」
...予(かね)てより御目通(おめどお)りを願って置いた芝(しば)日蔭町(ひかげちょう)なる遠山左衛門尉様(とおやまさえもんのじょうさま)の御屋敷へと人知れず罷(まか)り越したのである...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...そのやや暫くあとで、机竜之助は、林の蔭から、こっそりと身を現わして、鐙小屋(あぶみごや)に近いところの岩間から湧き出でる清水を布に受けて、頭巾(ずきん)を冠(かぶ)ったなりで、うつむいては頻(しき)りに眼を冷し冷ししていると、小屋の中から手桶をさげて出て来た神主が、「これは、これは――」といって、竜之助の仕事を立って見ていましたが、「それは利(き)きますよ、水でなけりゃいけません、湯では本当の修行になりませんな……白骨の温泉の雌滝(めだき)に打たれるより、この水で冷した方が、そりゃ利き目がありますよ」「どうも、しみ透るほど冷たい水だ」と竜之助が眼を冷しながら答えると、神主が、「トテモのことに、室堂の清水まで行って御覧になってはいかがです、これどころじゃありません……それから一万尺の権現のお池へ行って、神代ながらの雪水をむすんでそれを眼にしめして、朝な朝なの御陽光を受けてごらんなさい、癒(なお)りますよ」「御陽光というのは何だね」「朝日権現のお光のことでございます、黒住宗忠様が天地生き通しということをおっしゃいましたのを御存じでしょう」「知らない」「三月の十九日に、宗忠様は、もう九死一生の重態の時に、人に助けられて、湯浴(ゆあみ)をして、衣裳を改めて、御陽光をお拝みになりましたから、家の人たちは、もうこの世のお暇乞(いとまご)いを申し上げるのだろうと思っていましたところが、御陽光が宗忠様の胸いっぱいになって、それより朝日に霜の消えるが如く、さしもの難病がことごとく御平癒になりました」「ははあ」「久米の南条の赤木忠春様は、二十二歳の時に両眼の明を失いましたけれど、宗忠様の御陽光を受けてそれが癒りましたよ」「ははあ」「御陽光に背(そむ)いてのびる人間はなし、御陽光を受けて癒らぬ病人というのはございません……まあ、一度、この乗鞍ヶ岳へお登りなさいませ、そうして、朝日権現の御前に立って、蕩々(とうとう)とのぼる朝日の御陽光を拝んで御覧あそばせ、それはそれは、美麗とも、荘厳(そうごん)とも……」と言いかけて、美麗荘厳はこの人に向って、よけいなことだと気がつきました...
中里介山 「大菩薩峠」
...御蔭様でと挨拶(あいさつ)をして帰りかけると...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...木立と建物の蔭で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...陽蔭の草のようなわたしたちも...
林芙美子 「淪落」
...蔭谷川(シャドウ・ブルック)の名は...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...灌木(かんぼく)の蔭から...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...こちらは、五助、どんより曇って、月もない、杜下径(もりしたみち)、茅萱のなびいた、蔭につれ込むと、小声になって、「甚太郎――話と申すはな――」正直な男、「は、何でござりまするで――」と、前屈みに、身を寄せた瞬間!――シュッ!と、いうような、かすかな音がしたのは、抜き討ちの一刀が、鞘(さや)ばしった響き――――ピュウッ!と、刃風が立って、ズーンと、この無辜(むこ)の庶民の、肩さきから、大袈裟に、斬り裂いた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...その刀はお父様の身体(からだ)の蔭になって...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...呉れてやった味噌チリの面桶(めんつう)を筵(むしろ)の蔭から取出しました...
夢野久作 「近世快人伝」
...この二ツのものがある御蔭で...
夢野久作 「白髪小僧」
...次第次第に傾いて行く漆黒の頭髪(かみげ)の蔭になって...
夢野久作 「暗黒公使」
...お蔭でスッカリ身体(からだ)をヤクザにした上に...
夢野久作 「焦点を合せる」
...物蔭でぬすみ聞きしておったとか」「はい...
吉川英治 「新書太閤記」
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