...藤蔓の輪を滑らせながら動き出した...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...藤蔓(ふじづる)の絡(から)んだ棚の部分だけ地面とすれすれに残ってい...
谷崎潤一郎 「細雪」
...これにまた朝顔や豆の蔓がからみ付いてどこまでも空へ空へと競っているように見える...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...そして復員者が疥癬(かいせん)を蔓延させた...
永井隆 「長崎の鐘」
...蔓の末端は斜に空を向いて快げである...
長塚節 「太十と其犬」
...南瓜(たうなす)は晝間(ひるま)見(み)て置(お)いて夜(よる)になるとそつと蔓(つる)を曳(ひ)いて所在(ありか)を探(さが)すのである...
長塚節 「土」
...一所懸命に手蔓を求めてやって来て...
中谷宇吉郎 「防寒戸」
...市松に組んだパーゴラの最初の横木に蔓を巻きつけたと思うと...
久生十蘭 「だいこん」
...清らかな天空から射す光もなくその街は長らく夜の時のまま、されど海の蛍が灯りとなりそこここの円塔をそっと照らし上げる――ほのかな灯が頂塔へとふうわっと円蓋へと――尖塔へと――王の間(ま)へと――寺院へと――廃都然した城壁へと――蔦の彫刻と石の花のある久しく忘れられた影なす憩いの場へと――そしてあまたの見事な神殿へと、その小壁の花輪装飾に絡まるのは月琴、菫、草の蔓...
エドガー・A・ポオ Edger A. Poe 「ポオ異界詩集」
...へら歯朶やまんねん草の類ひの隠花植物が絨氈のやうに蔓つてゐた...
牧野信一 「繰舟で往く家」
...こちらの蔓がきれて...
槇本楠郎 「きんまくわ」
...南瓜(かぼちゃ)の蔓(つる)溜壺にとりつきて大きなる仇花に虻(あぶ)の絶えざるも善し...
正岡子規 「わが幼時の美感」
...ほかへ勤める手蔓(てづる)を捜し始めて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...巻付いて来る蔦蔓(つたかずら)から...
夢野久作 「鼻の表現」
...微風に蔓草の揺れる間を...
横光利一 「旅愁」
...その径の端にうす紫の蔓岬(つる)の花がなよ/\と咲いてゐた...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...そのころ呟(つぶや)いた自分の句に「この先を考えている豆の蔓(つる)」というのがあります...
吉川英治 「親鸞の水脈」
...ひとつ」「何をで?」「その大金の蔓(つる)を――だ」「ど...
吉川英治 「宮本武蔵」
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