...蓬莱町まで行きながら又引き返して来た自分のぶざまな恰好を私は自嘲(じちょう)した...
梅崎春生 「風宴」
...蓬頭粗服、風采あがらざる一老書生なりしに、それを蜀山人とは、如何にして知り給ふぞと問へば、凡そ天下ひろしといへども、今の世、蜀山人ならで、かゝる句を咏み得るものあらむやと言はれ、吉原第一も今日限りと、齒をくひしばり、わつとばかり泣き伏す...
大町桂月 「牛經」
...蓬髪(みだれがみ)素面(すがほ)にて天質(うまれつき)の艶色(えんしよく)花ともいふべく玉にも比(ひ)すべし...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...時に蓬莱の神女、姿を変じて、海士少女となりて、釣舟の中に現われ、勅使を明神の社頭に導き、茲にその蓬莱の神女なる由を明かし、「此君を守りつつ、不死薬を与えん...
高木敏雄 「比較神話学」
...諸島説話に見ゆる蓬莱仙女の一条は...
高木敏雄 「比較神話学」
...其夜は蓬亭の御馳走で牛肉を食つて落語を聽いて蓬亭は寄宿舍に歸り...
高濱虚子 「俳諧師」
...しかし、お祝言の時などの島臺の、れいの蓬莱山、尉姥の身邊に鶴と一緒に侍つて、鶴は千年、龜は萬年とか言はれて目出度がられてゐるのは、どうやらこの石龜のやうで、すつぽん、たいまいなどのゐる島臺はあまり見かけられない...
太宰治 「お伽草紙」
...蓬莱亭から出て帰り途で...
豊島与志雄 「反抗」
...ひそかに村田を誘って蓬莱亭の三階へ落着こうとしたのは...
豊島与志雄 「反抗」
...路傍の蓬(よもぎ)や田芹(たぜり)が芽ぐんで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...海を見晴す蓬来の部屋へ落ちついてホッとする...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...うす紫の花を蓬のかげで咲かしている...
本庄陸男 「石狩川」
...蓬髪垢面の一教誨師に会ひたり...
牧野信一 「変装綺譚」
...髪は蓬々としてゐて...
牧野信一 「街角」
...髪毛と髭を蓬々とさした真裸体(まっぱだか)の男が鞄を一つ下げて立っておりますので...
夢野久作 「豚吉とヒョロ子」
...『本朝神仙伝(ほんちょうしんせんでん)』には蓬莱とあり...
柳田国男 「海上の道」
...挽いて粉にして置いて糯粟などを加へ澤山の蓬や山牛蒡の葉を搗き込んで草餅として...
柳田國男 「食料名彙」
...媼(おうな)は蓬(よもぎ)の餅を作って将に献じた...
吉川英治 「三国志」
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