...「隅田丸(すみだまる)三十号」(?)――僕は或はこの小蒸汽に何度も前に乗つてゐるのであらう...
芥川龍之介 「本所両国」
...蒸気の物をはこぶ力の早いことはわかっています...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「幸福のうわおいぐつ」
...その向うを、黄色いマストをした、黒い蒸汽船が、長い烟(けむり)をはいて、横向きにとほつていきました...
鈴木三重吉 「ぽつぽのお手帳」
...車室の中はひとしお蒸し暑い温気(うんき)が籠(こも)り...
谷崎潤一郎 「細雪」
...古い苔蒸した無数の墓の外(ほか)にはその昔の何事をも語らなかつた...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...(明治四十一年三月三十一日『東京朝日新聞』)七十二瓦斯(ガス)の液化水蒸気を冷せば水になる事は日常目撃するところだが...
寺田寅彦 「話の種」
...或る曇り空の蒸し暑い日...
豊島与志雄 「土地に還る」
...とても眠られまいと思つた夜の蒸暑さも...
永井荷風 「来訪者」
...尤(もっと)も、ふだんでさえ冬は人の住まない土地ですから、行かないのはあたりまえですけれど、今度のお化け話はこの夏の終り頃からはじまりました」「そうですか、拙者は、ちょっと道に踏み迷うたという形で、あの温泉場へ参り、直(ただ)ちにこうして引上げて来たのですから、お化けにお目にかかる暇(ひま)が無かったものと思われます、もう少し逗留(とうりゅう)していたら、そのお化けが挨拶に来たかも知れません」兵馬が存外、あきたらず受け流すのを、一同がかえって興にのり、「左様でございますとも、長く御逗留なすっていると、そのお化けにひきこまれなすったかも知れませんが、早く引上げておいでなすったから、お化けも御挨拶を申し上げる暇がございませんで結構でした、後家さんや、浅公なんぞも、早く切上げて来れば何の事はなかったのに……」それから、一槽の者が、その飛騨(ひだ)の高山の淫乱後家なるものと、男妾の浅公なるものとについての噂を、蒸返し、蒸返し、それにまたまた尾ヒレがついて、この湯槽の中は、その風聞で持ちきりになりましたから、兵馬も思わず興味をもって、これに耳を傾けさせられています...
中里介山 「大菩薩峠」
...とにかく温い水蒸気が自然対流で上層へ昇って行き...
中谷宇吉郎 「雪」
...小蒸汽はそれを曳(ひ)きなやみつつ...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...我々の前にはただ走つてゐる川蒸氣があるばかりになる...
堀辰雄 「(ポオル・モオランの「タンドル・ストック」)」
...それへ砂糖を加(くわえ)て煮てもよし針で孔を明けた梅を長く蒸して砂糖をかけておいてもよし...
村井弦斎 「食道楽」
...譬えば南瓜(とうなす)を料理するにしても煮たり湯煮(ゆで)たりしたものと西洋料理風に蒸して裏漉(うらご)しにかけてパイにしたりプデンにしたりするのとは大層消化が違います...
村井弦斎 「食道楽」
...蒸したる魚へかけて出すなり...
村井弦斎 「食道楽」
...それからまた女の肉体から蒸せあがるような...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...悪い蒸気がこれまで拓いた土地を皆汚している...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...ぼくの家へよく掃除に来てくれたでしょう」蒸気河岸のこれこれと...
山本周五郎 「青べか物語」
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