...是は米を直ぐに笹に包んで蒸すのだから...
伊藤左千夫 「浜菊」
...眼には見えない水蒸気が眼につく霧になり...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...此(こ)の中に入れて蒸気で蒸(む)してやったりします」「それにしては...
海野十三 「爬虫館事件」
...浜べはまだ風がなく蒸し暑くて海面が油を流したようにギラギラして...
寺田寅彦 「夏の小半日」
...前夜にたてた風呂(ふろ)の蒸気が室(へや)にこもっているところへ...
寺田寅彦 「日常身辺の物理的諸問題」
...足もとの壁に立っている蒸気暖房器の幾重にも折れ曲がった管の中をかすかにかすかにささやいて通る蒸気の音ばかりが快い暖まりを室内にみなぎらせる...
寺田寅彦 「病院の夜明けの物音」
...まだひどく蒸し暑い日曜日の午後遅く...
豊島与志雄 「叔父」
...なま温い靄を蒸発させ...
豊島与志雄 「春の幻」
...いやに蒸すようじゃないか」程経てこの船が海へ乗り出した時分に...
中里介山 「大菩薩峠」
...即ち気温と水蒸気の過飽和の度合とをはっきり決めようというのである...
中谷宇吉郎 「低温室だより」
...無頼漢(ならずもの)風の男が蒸気の屋根に飛乗った事などには気が付きません...
野村胡堂 「悪人の娘」
...就中蒸菓子汁粉の類はわろし...
福澤諭吉 「養生の心得」
...それは神聖な草から蒸溜して取ったものです...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...蒸したような空気のなかに実に非常な沢山な蚊が群をつくっては私を襲うた...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...日光が蒸しついてくるので...
室生犀星 「蛾」
...唯(たゞ)この蒸(むし)暑い日に其処(そこ)ではどんなに涼しさが得られるか知れないと云ふ気がしたのと...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...ここで蒸れているのは貧乏のにおいということができる...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...ある商人がその蒸汽じかけの製粉所のためペテルブルグから引っ張って来た若い機関士で...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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