...山での食物なら、先づ赤米、白塩、緑葵、紫蓼――といつたやうなところで……」隠遁者が色づくしの美い名前を数へ立てると、それを傍で聞いてゐたある人が、横から口を出し、「山では蔬菜ばかしをめしあがつてゐるらしいが、そのなかで何が一番お口に合ひましたな...
薄田泣菫 「春菜」
...△人間の気分といふものも面白いものだ、君は、医者のところで、うつかり父はゐないといつて、父を殺してしまつたさうな!私だけ学校へ、鋸と鎌とを借りて、葵一茎、白薔薇一枝を貰つてくる...
種田山頭火 「其中日記」
...自分は木曜会の葵山(きざん)渚山(しょざん)湖山(こざん)なぞいう文学者と共に...
永井荷風 「霊廟」
...三つ葉葵散らしの手筥を持たせて...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...これだけ向日葵(ひまわり)が沢山あると...
野村胡堂 「向日葵の眼」
...葵の肩にしなだれかかった...
久生十蘭 「金狼」
...葵のそばから身体をひくと...
久生十蘭 「金狼」
...葵は身もだえをしながら...
久生十蘭 「金狼」
...葵が部屋の真ん中に立っていた...
久生十蘭 「金狼」
...その都度なんとかすればいい……」葵は眼を伏せた...
久生十蘭 「金狼」
...日向葵の花の風車のやうにクルクルと回つて炎えたつ...
牧野信一 「痴想」
...私が中学生だった大正中世にも根津あたりの町角で白地へ三葉葵の定紋いかめしく黄金(きん)色に印刷した一枚看板のポスターがひるがえっていたことを...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...向日葵の種を前歯で破って殻を唇の間からほき出しつつ...
「赤い貨車」
...叩きはやはり松魚の叩きの通りで先日お教え申しましたが摺身はソーダ松魚の皮を剥(む)いて身を取て俎板(まないた)で叩いて擂鉢(すりばち)でよく摺(すっ)て玉葱(たまねぎ)を山葵卸(わさびおろ)しで摺込んで塩と味淋で味を付けてまたよく摺って煮汁(だし)を加えてドロドロにして...
村井弦斎 「食道楽」
...同じ刺撃性の食物でも唐辛子(とうがらし)や山葵(わさび)の類を咳(せき)の出る病人に食べさせたらいよいよ気管を刺撃して咳を増さしめるけれども生姜(しょうが)は咳を鎮静(ちんせい)させる...
村井弦斎 「食道楽」
...それは先ず塩とお砂糖で濃い葛湯(くずゆ)を拵らえてそれへ摺った山葵と蜜柑の実ばかりとを入れて掻(か)き交(ま)ぜたのです...
村井弦斎 「食道楽」
...大将の母君の葵(あおい)夫人の葬送の夜明けのことを院は思い出しておいでになったが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...もひとつの向日葵のような大きな強いもようの方には古いアジアが反射している...
吉川英治 「正倉院展を観る」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??