...ぽっかりと眼を醒ました時には開け放たれた硝子窓の彼方からは美しい夏の朝の陽の光が射し込んで爽やかな風がそよそよとカーテンを弄(もてあそ)び窓の上のカーネーションの葩(はなびら)に戯れて眠り足りた私の頬に心地よく触れていった...
橘外男 「逗子物語」
...チラホラ白い葩(はなびら)を綻(ほころ)ばせて...
徳田秋声 「新世帯」
...嵐に吹き散らした何かの葩(はなびら)のやうに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...アンナ女王が狩猟中落馬をして葩去されたが...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...はらはらと葩(はなびら)のごと汗散ると暑き夏さへ憎からぬかな心の持ちやうで人生は如何にでも変化する...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...一枝ニ数葩」(漢文)とほんのこればかりの短文から出たものであるが...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...それは決して数葩すなわち数花が開くとは言えないのである...
牧野富太郎 「植物記」
...「数葩」というのは幾つもの花ということです...
牧野富太郎 「植物記」
...まことにユニックな青白い葩(はな)びらの光沢に満ちてゐる...
三好達治 「測量船拾遺」
...葩束を編みながら美しく羞むひとよ夕べバルコンの影の跫音の言葉ならはるかな愛情も匂ふでせう★梢に鴉の喪章はゐない***新しいアアチの青貝路にペンキの響き自転車で春の帽子がかけてくる★樹樹の梯子を登りをりして歌ふものたち***花に飾られた日射しの緑のブランコの優しい肩にのりあなたは空まで駈けあがる★雲がじぶんでドアをあける光りにまじつて小鳥の声もおちてくるやはらかい枝や影がぼくを支へる...
森川義信 「季節抄」
...桜の葩のあたりの路上を白く浮き染めている所まで来たとき...
横光利一 「旅愁」
...眼に沁みこもる葩の白さに彼は急に結婚のことも忘れた...
横光利一 「旅愁」
...いちめん葩を滲ませていた...
横光利一 「旅愁」
...葩(はなびら)のような愛らしい紅(くちびる)...
蘭郁二郎 「蝕眠譜」
...薔薇の葩(はなびら)のような頬をして...
蘭郁二郎 「地図にない島」
...椿の葩(はなびら)よりも紅く可愛いい唇で……」黒吉は...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...その匂うような葩(はな)の顔が...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...葉子の血の葩(はなびら)のように赤い唇が...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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