...葉子の控え目なしおらしい様子がいやが上にも人のうわさを引く種(たね)となって、葉子という名は、多才で、情緒の細(こま)やかな、美しい薄命児をだれにでも思い起こさせた...
有島武郎 「或る女」
...葉子は自分のからだが中有(ちゅうう)からどっしり大地におり立ったような感じを受けた...
有島武郎 「或る女」
...葉子は貞世がいつのまにか膝(ひざ)の上に寝てしまったのを口実にして人々を見送りには立たなかった...
有島武郎 「或る女」
...葉子の胸の中にはこんなずるがしこいいたずらな心も潜んでいたのだ...
有島武郎 「或る女」
...そこに僕の家で学資をやってる書生がいて僕の監督をしてくれる事になっていたんですけれど……」葉子は珍しい事を聞くように岡に目をすえた...
有島武郎 「或る女」
...葉子はそこを出て無理に船医の興録をそこに引っぱって来た...
有島武郎 「或る女」
...いったいどんな事をしたんです」葉子はさも愛想(あいそ)が尽きたというふうに...
有島武郎 「或る女」
...きっと十年を期して男になって見せますから……もしあなたの愛からわたしが離れなければならんような事があったら……わたしはそんな事を思うに堪(た)えない……葉子さん」木村はこういいながら目を輝かしてすり寄って来た...
有島武郎 「或る女」
...葉子は少し腹部に痛みを覚えるのをことさら誇張してわき腹を左手で押えて...
有島武郎 「或る女」
...木村のやる瀬ない心の中が急に葉子に逼(せま)って来た...
有島武郎 「或る女」
...葉子は部屋のすみにきちょうめんに折りたたんである新聞を見ると...
有島武郎 「或る女」
...そう思いながら葉子は目でなでさするようにして倉地が一心に箸(はし)を動かすのを見守らずにはいられなかった...
有島武郎 「或る女」
...はかないとも形容のできないその空虚さは何よりも葉子につらかった...
有島武郎 「或る女」
...木村は恋するものの本能からとうに倉地と葉子との関係は了解しているに違いないのだ...
有島武郎 「或る女」
...ただ少し葉子から離れて来たらしいと疑い始めただけだ...
有島武郎 「或る女」
...それを見るともう葉子の神経はびりびりと逆立(さかだ)って自分ながらどうしようもないほど荒れすさんで来ていた...
有島武郎 「或る女」
...葉子は二度目に移って行った隣りの下宿屋の二階家から...
徳田秋声 「仮装人物」
...葉子はどこにもいなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
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