...輝いた鮮かな芽が萌え出て居るのを見る時に...
會津八一 「菊の根分をしながら」
...春は若草の萌えた野道から来るともいい...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...萌え出る前の冬を蔽う雪はすでに解けてエリザベス朝的文化の眩しい春が...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...踏むのが勿體無い氣がする何故なら其處には幸福がある氣がするから何と云ふ靜かさの中に自然が春を裝ふのだらう木も草も空も萌えた色をしてゐる夢のシインのやうだ...
千家元麿 「自分は見た」
...ひこばえが萌え出て...
太宰治 「右大臣実朝」
...芝の芽の萌えるころはふるさとの丘を思ひだすゆるやかにふわふわと雲の浮かんだあの丘山を犬ころが走り凧があがりぼくらは寝そべつてゐたつけが「どこへ行かうかな」「大きくなつたら」「海へ――空へ――遠いところへ――」誰やかれやみんな叫びあつた――芝の芽の萌えるころはふるさとの丘を思ひだすゆるやかにふわふわと雲の浮んだあの丘山をああ誰もかれもみんな大きくなつただらうな...
土田耕平 「芝の芽」
...同じ雨の濕めつぽさでも春雨や蜂の巣つたふ屋根の漏 芭蕉には萌え出る生命の暗示を含むと同時に何處となく春の淋しさがにじんである...
寺田寅彦 「天文と俳句」
...かしこに煙の流るる空はつめたくして草はあたたかに萌えたり手はくみて歩めどもよそゆきの着物のにほひ侘しきに秋はうららに落ち來り日向に幹木の愁ちらばふ晝餉どき停車場のほとりに出でわづかなる水をたうべしに工人の居て遠き麥畑を指させり(一九一三...
萩原朔太郎 「郊外」
...地から萌えるぬくもりに擽(くす)ぐられた...
本庄陸男 「石狩川」
...ゆらゆらと陽炎が萌え立ち...
牧野信一 「繰舟で往く家」
...若葉の萌える春のころだった...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...幸福な栗の若木はこの時銀のギザギザをつけた鮮緑の若葉を一斉に萌え立たせた...
室生犀星 「愛の詩集」
...若いみどりは萌え止まぬわ...
吉川英治 「私本太平記」
...再び芽の萌え出すことがある...
若山牧水 「樹木とその葉」
...葉は花よりも先に萌え出でて單紅色の滴るごとくに輝いてゐる...
若山牧水 「樹木とその葉」
...それは畑ともつかぬ山畑に一寸ばかりも萌え出て居る麥の芽を通してゞあつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...雪の消ゆるを待つて一度に萌え出づるのである...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...ここには「萌えにけるかも」という新緑への単純な詠嘆が...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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