...菜の花色の水干(すゐかん)の襟と...
芥川龍之介 「好色」
...薄紫の嫁菜の花は所嫌わず紛々と...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...畑には麥が青く延びて處々に菜の花の畑が交つてゐた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...左を見れば一面の菜の花が鬱金の底光りをあげていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...・ふるさとはおもひではこぼれ菜の花もなんと長い汽車が麦田のなかを・ぼけが咲いてふるさとのかたすみに・けふはこれだけ拓いたといふ山肌のうるほひ・水に雲が明けてくる鉄橋のかげ妹の家を訪ねて二句・門をはいれば匂ふはその沈丁花しきりに尾をふる犬がゐてふるさと三月二十四日雨...
種田山頭火 「其中日記」
...旅も一人の春風に吹きまくられ波音の菜の花の花ざかり春まだ寒いたんぽゝたんぽゝ指のしなやかさ春の日ざしの杉菜そよぐのも春はまだ寒い風かすんでとほく爆音のうつりゆくを山羊鳴いて山羊をひつぱつてくる女・うらうらやうやうたづねあてた・椿は落ちつくして落ちたまゝ四月十五日花ぐもり...
種田山頭火 「旅日記」
...海棠さては菜の花...
戸坂潤 「獄中通信」
...菜の花に気をとられて...
夏目漱石 「草枕」
...左右は燃え崩(くず)るるまでに濃く咲いた菜の花をべっとりと擦(なす)り着けた背景には薄紫(うすむらさき)の遠山(えんざん)を縹緲(ひょうびょう)のあなたに描(えが)き出してある...
夏目漱石 「虞美人草」
......
野口雨情 「野口雨情民謡叢書 第一篇」
...あの菜の花の咲きつづく和泉の國...
長谷川時雨 「春宵戲語」
...マアガレットや、菜の花や、矢車草や、カアネイションが一本ずつ差してあるが、それに灯火(あかり)のあたっている風情は、花って本当に美しいものだと見とれてしまう...
林芙美子 「生活」
...なにをいうとるなん? 土用に菜の花などあるかしらん」「そうかのう...
久生十蘭 「肌色の月」
...あの頃はまだ春は菜の花が一面に咲いてゐた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...例へば帰る雁(かり)田毎(たごと)の月の曇る夜に菜の花や月は東に日は西に春の夜や宵(よい)曙(あけぼの)の其中に畑打や鳥さへ鳴かぬ山陰(やまかげ)に時鳥平安城をすぢかひに蚊の声す忍冬の花散るたびに広庭の牡丹や天の一方に庵(いお)の月あるじを問へば芋掘りに狐火や髑髏(どくろ)に雨のたまる夜に常人をしてこの句法に倣(なら)はしめば必ずや失敗に終はらん...
正岡子規 「俳人蕪村」
...その中から更に抜萃して見ると白酒に酔ふも三日や草の宿評 貴嬢紳士は終年宴楽菜の花のあなたに見ゆる妹が家評 黄雲千頃...
正岡子規 「病牀六尺」
...それに今日はこぼれた種から生えて咲いた菜の花がさしてあります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...座の裏手は一面の麦畑に菜の花がところどころ...
山本笑月 「明治世相百話」
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