...枯莖に殘つた澁い紫の小さな茄子が...
泉鏡花 「遺稿」
...萬有のすぐれてめでたき事も空(くう)にはあらず又かの虚(うつ)ろ蘆莖(あしぐき)の戰(そよ)ぎも空(くう)ならず...
ポオル・クロオデル Paul Claudel 上田敏訳 「頌歌」
...そねが莖(もと)そね芽(め)繋(つな)ぎ二五て撃ちてしやまむ...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...離崎、鵜の尾岬、水莖山、松川浦、長洲の磯、鶴巣野、梅川、松沼濱、沖が島、文字島、紅葉の岡、川添の森、これ松川浦の十二景とする所なれども、さばかりの景致あるにあらず...
大町桂月 「常磐の山水」
...か細き鬢莖(びんぐき)にかなへをあぐる力あり...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...自分の莖を引切つてまで...
薄田泣菫 「久米の仙人」
...莖葉(くきは)の下(した)じめり香(か)を高(たか)み...
薄田淳介 「白羊宮」
...そこには幾莖(すうほん)の髭が踈(まば)らに生えているのみであった...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「成仙」
...莖の太く軟らかに一尺四五寸ものびてなほ卷葉のみの最上品が數本簇生した處にでも出會すと...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...女は芋の莖を菜刀でもとから切つて先へ出る...
長塚節 「寫生斷片」
...黄蜀葵(ねり)は能(よ)く畑(はたけ)の周圍(まはり)に作(つく)られて短(みじか)い莖(くき)には暑(あつ)い日(ひ)に大(おほ)きな黄色(きいろ)い花(はな)を開(ひら)く...
長塚節 「土」
...郷に入り鬼怒川を過ぐ異郷もあまた見しかど鬼怒川の嫁菜が花はいや珍らしきわせ刈ると稻の濡莖ならべ干す堤の草に赤き茨の實我がいへにかへりてめづらしき蝦夷の唐茄子蔓ながらとらずとぞおきし母の我がため唐茄子は廣葉もむなし雜草(あらぐさ)の蚊帳釣草も末枯にして明治三十九年鬼怒沼の歌上脚にカルサン...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...其處で私は先頭になつて瀑の頭から崖頭に群(むら)がる木の間を左に辛くも切り拔けて、左の小澤との間を下つて行く、傾斜は隨分急であつたが、しなやかな木の枝から枝へと傳ひ、笹の莖を握つて、轉落を防ぐ事が出來る...
沼井鐵太郎 「黒岩山を探る」
...つくしの莖をかむ私のあかいくちびるです...
萩原朔太郎 「よき祖母上に」
...私もそれが齒莖から出たものとばかり思つてゐた...
堀辰雄 「麥藁帽子」
...みんな幹(みき)や莖(くき)が小(ちひ)さく低(ひく)くて...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...子供がはいると見え五六枚の齒朶の莖がまとめて...
室生犀星 「京洛日記」
...金(きん)の莖(くき)...
和田萬吉 「竹取物語」
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