...荒砥(あらと)で菜切庖丁のように磨(と)いだ肌などを見ると――これは後に解ったことですが――能登(のと)の国から出て来たという丑松の持物で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...明日は氏神(うじがみ)のお祭ぢやといふので女が出刃庖刀を荒砥(あらと)にかけて聊(いささ)か買ふてある鯛(たい)の鱗(うろこ)を引いたり腹綿(はらわた)をつかみ出したりする様は思ひ出して見るほど面白い...
正岡子規 「墨汁一滴」
...角潰れ海に蜘蛛(くも)の網かけたる荒砥(あらと)の硯(すずり)は...
宮崎湖処子 「空屋」
...遂に天和二年大阪思案橋際荒砥屋版の大本八冊を三十二円で買つた...
宮武外骨 「骨董品化した古珍書」
...附近の荒砥(あらと)の瀬戸山はその兄弟窯であります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...幸福を砕き去る荒砥(あらと)ならず...
與謝野寛 「失楽」
...雑兵の持つ数物(かずもの)ばかり荒砥(あらと)にかけておる...
吉川英治 「宮本武蔵」
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