...「そりやア、まことに御結構――お鳥さんのではなく、庭鳥(にはとり)の聲です」など云つて、義雄が受け流すと、馬鹿にされたと思つて、かの女は急にその色の白い、然し筋肉にたるみある顏をくしやくしやとしがめ、鼻息を荒くして、渠に向つて來て、「このおぢイさん」などと渠を打つたりつめつたりする...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...テーブルの上の麦わらを手荒くほうりだした...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...俺は手荒くそれを払いのけた...
梅崎春生 「蜆」
...いく度も自殺しかけたことがありました」「精神病の血統なんですな」「弘さんは戦争に行ってからは一層気が荒くなり...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「あの顔」
...態度もますます荒くなるのだ...
大杉栄 「日本脱出記」
...たとへば荒くれた漁師が病気の乞食をいぢめてゐたのだつたら...
太宰治 「お伽草紙」
...その見知らぬ男は数人の荒くれどもに絡まれてしまった...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「蒼炎石」
...荒くれた交響曲や...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...低い前額、広い顳(こめかみ)、年齢四十足らずで目尻(めじり)には皺(しわ)が寄り、荒く短い頭髪、毛むくじゃらの頬(ほお)、猪(いのしし)のような髯(ひげ)、それだけでもおよそその人物が想像さるるだろう...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...折から一同は中庭を隔てた向うの小座敷に先ほどから頻(しきり)と手を鳴らしていたお客が遂に亭主らしい男を呼付けて物荒くいい罵(ののし)り初めた声を聞付けた...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...一方は金づかひが荒くて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...荒くれ男は三人共...
夢野久作 「猿小僧」
...「あのねえ……」嵬が突然手荒く封をしながら路易に言つた...
堀辰雄 「顏」
...どれだけ私の我儘と自由と多くの時間とを幸福にして呉れたことか! どれだけ荒くならうとする自分を優柔にひき戻し...
室生犀星 「愛の詩集」
......
山之口貘 「鮪に鰯」
...店の者もひところは十人以上使っていたかね」その男は人使いが荒く...
山本周五郎 「季節のない街」
...肌はつやのない茶色で、きめが荒く、腕や脛(すね)にはかなり濃い生毛が伸びていた...
山本周五郎 「季節のない街」
...その代りに呼吸は眼に見えて荒くなって来た...
夢野久作 「暗黒公使」
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