...びんの中には褐色の草の根のようなものが押しこんであった...
海野十三 「火星兵団」
...ああ草の根株は掘つくりかへされどこもかしこも曇暗な日ざしがかげつてゐる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...ああ秋も暮れゆくこのままに故郷にて朽つる我にてはよもあらじ草の根を噛みつつゆくものどの渇きをこらへんためぞ畠より疲れて歸り停車場の裏手なる便所のほとりにたたずめり日はシグナルにうす赤く今日の晝餉に何をたうべむ(故郷前橋にて)...
萩原朔太郎 「晩秋哀語」
...谷から谷に溢れ出た虐げられたものらの無数の列よ!先頭に旗をかざして進む若者と胸一ぱいに萬歳をはるかの屋根に呼び交はす老人と眼に涙を浮かべて古い民衆の謡(うた)をうたふ女らと草の根を噛りながら...
槇村浩 「間島パルチザンの歌」
...あるいは深山にある何やらの草の根を煎(せん)じて飲めば病たちどころに直るといはるるもあり...
正岡子規 「墨汁一滴」
...紫紺という桔梗(ききょう)によく似(に)た草の根(ね)を...
宮沢賢治 「紫紺染について」
...トリカブトといふ草の根からとつた毒汁(どくじる)ブシを泥(どろ)にねりまぜたものが塗つてあるので...
宮原晃一郎 「熊捕り競争」
...女の子は、まい朝、そとへでていっては、草の根(ね)や、汁(しる)のおおい実(み)や、クルミのようにかたい実を、たくさんあつめてきました...
グリム Grimm 矢崎源九郎訳 「にいさんと妹」
...草の根の汁で染まった黄金(きん)色の歯をガツガツと鳴らしながら...
夢野久作 「キチガイ地獄」
...いまなれや ものゝふ生きてこそ 人みなまたとはなき 生がひかな草の根も喰(は)め...
吉川英治 「上杉謙信」
...また草の根へ屈みこんで...
吉川英治 「上杉謙信」
...草の根にころがった...
吉川英治 「三国志」
...草の根を喰っても生きるのだ」彼の置いた首級(くび)を...
吉川英治 「新書太閤記」
...秋草の根に残っている...
吉川英治 「新書太閤記」
...また、山城渓谷の深きに入って、糧(かて)なく持久を策す折も、草の根、松の根、何でも噛んで胃の足(た)しにせにゃならぬ...
吉川英治 「新書太閤記」
...草の根を分けて歩くんだな」――そんな声を背に聞き流して...
吉川英治 「新・水滸伝」
...片手で草の根をつかみながら...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...草の根を掻きわけて探した...
吉川英治 「宮本武蔵」
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