...何(なん)の言葉も交(かわ)さずに茫然と玄関に佇(たたず)んでいた...
芥川龍之介 「悠々荘」
...しばし茫然として自動車を見送っていたが...
犬田卯 「荒蕪地」
...岩瀬氏はあまりのことに茫然として...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...私達は墓穴の様な暗闇と沈黙の中に茫然と立ちつくしていた...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...近眼と遠眼とがこんがらがってきたように、或は悠然として、或は茫然として、山を空を土を眺めることができるようになった...
種田山頭火 「三八九雑記」
...孝太郎はまたも茫然と佇んだまま富子の姿を思い浮べた...
豊島与志雄 「囚われ」
...俺はただ茫然として...
豊島与志雄 「ヘヤーピン一本」
...暫(しばら)く茫然と炭を見つめておりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼はデュウラアの「メランコリヤ」という版画を――混乱の中に茫然と坐った天使の絶望を思い浮べた...
中島敦 「狼疾記」
...と云って茫然と見とれていてはなお失礼だ...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...茫然としてなすところを知らなかった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...茫然として立ち竦んでしまう...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...茫然となすことを知らざる余りに不意な出来事に...
室生犀星 「舌を噛み切った女」
...大石は茫然としていた...
山本周五郎 「花も刀も」
...お互いに相手を茫然と見まもっていた...
山本周五郎 「風流太平記」
...足下にウイスキーの小瓶がタタキ付けたったそうだよ……ハハハハハ」私は茫然として編輯長の顔を凝視した...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...茫然と、火光の空を、眺めたまましばらく自失していた...
吉川英治 「三国志」
...だが――それがやがて、千坂家の表門へ、駕通しに、ずっと呑まれてしまったのを見届けると、「ああ、しまった!」と、何もかも、泡沫(ほうまつ)に帰したように、しばらく、茫然と、厳(いかめ)しい門扉(もんぴ)を眺(なが)めていた...
吉川英治 「無宿人国記」
便利!手書き漢字入力検索