...ヨセフは、茫然として、ややともすると群集にまぎれようとする御主(おんあるじ)の紫の衣を見送った...
芥川龍之介 「さまよえる猶太人」
...この時だけは茫然としたなり...
芥川龍之介 「雛」
...天を覆して降る豪雨の音を茫然とただ聞いていました...
芥川龍之介 「妖婆」
...そして暫くの間は、茫然として、顔を赤くして見習士官の顔を見てゐて、失つた思量の端緒を求めてゐた...
アルチバシェッフ・ミハイル・ペトローヴィチ Artsybashev Mikhail Petrovich 森林太郎訳 「死」
...私は茫然として少時の間は無意識状態に陥ってしまって悲しくもなく...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
...私はしばらく茫然として...
橘外男 「逗子物語」
...道益といえども茫然と手を束ねていたのではなかった...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...茫然と町角に立って河童の皿のついた自動車の通行を計算している秀陳の傍へ行って...
久生十蘭 「魔都」
...さすがの親王もしばらくの間は茫然として佇立(ちょりつ)しておられたが...
穂積陳重 「法窓夜話」
...書籍の間に坐して茫然として彼等の所業を見守るばかりであった...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...しばらく茫然と立ちつくした...
松濤明 「春の遠山入り」
...僕は茫然としてしまつた...
村山槐多 「殺人行者」
...男は暫時(しばし)茫然としていたが...
柳川春葉 「一つ枕」
...私はやはり茫然として眼の前に落ちた革の鞭と短刀とを見ていた...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...わがものと思えば軽し傘の雪恋の重荷を肩にかけ彦太は茫然として留守居役の顔を見ていた...
吉川英治 「脚」
...また無表情に茫然としている者と...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...茫然とそこに杖をとめ...
吉川英治 「親鸞」
...彼の眼は茫然と、それを見て泣きかけていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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