...灌木(くわんぼく)の林の前に茫然と立つて汽車を眺めてゐる農夫があつた...
石川啄木 「札幌」
...毎度のことながら一望の葦原に茫然とした...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...痛む右脚を少し浮かせて三藏の見る庭面を只茫然と見てゐる...
高濱虚子 「俳諧師」
...我等が神飢ゑ気疲れてテーブルの前に茫然としてゐる時に...
高浜虚子 「発行所の庭木」
...近眼と遠眼とがこんがらがってきたように、或は悠然として、或は茫然として、山を空を土を眺めることができるようになった...
種田山頭火 「三八九雑記」
...」浅野は茫然とした面持ちで...
豊島与志雄 「化生のもの」
...ただ彼の眼玉を茫然と見つめたまま...
豊島与志雄 「交遊断片」
...茫然と前にのりだしてるそれらのあらゆる顔を動かす操り糸のゆわえてある中心であるように思えた...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
......
野口雨情 「都会と田園」
...何を思ふか茫然とせし顏つき...
樋口一葉 「十三夜」
...白く茫然とした頭を持ち続けて歩いて居た...
牧野信一 「公園へ行く道」
...彼女が長火鉢のわきに茫然と...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...いつか茫然と山を見守っているのだ...
山本周五郎 「藪落し」
...……なぞと……そんな事を考えつつ茫然として...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...互に茫然とした顔を見合わせたのみで...
吉川英治 「江戸三国志」
...来てくれたのか……」と馬春堂は茫然となった後に...
吉川英治 「江戸三国志」
...胡坐(あぐら)と胡坐を対(むか)い合せ、顔と顔をつき合せ、二人は茫然と、相見てしまった...
吉川英治 「平の将門」
...突然の損失と希望から抛り出された傷手(いたで)に、身がふるえ、血が憤(いきどお)って、茫然と、空地の人群れを見つめていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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