...茫々たる流転(るてん)の相(さう)...
芥川龍之介 「骨董羹」
...ただ茫々たるものである...
太宰治 「お伽草紙」
...三条の大河は茫々たる沃野を横ぎり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...環海は何ぞ茫々たる...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...見廻せば前後茫々たる川中島...
中里介山 「大菩薩峠」
...山岳茫々たる時に...
中里介山 「大菩薩峠」
...だん/\進んで見るから茫々たるあたりへ行つた時彼は船底の棹を取つてしばらく突張つて居たが...
長塚節 「土浦の川口」
...腐蝕土の灰汁と泥土とで、黒褐色に濁った水は、茫々たる原野に、ひとしお荒涼の感を与えている...
中谷宇吉郎 「異魚」
...茫々たる薄明の野原の真中で急停車した...
久生十蘭 「川波」
...君まさず葛葉ひろごる家なれば一叢(ひとくさむら)と風の寝にこし茫々たる昔の武蔵野の一隅...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その頃の草茫々たる武蔵野を大風の吹きまくつて居た光景がこの歌を読むとどうやら現はれて来る...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...腐屍を禿鷹の餌食に曝す躯(むくろ)の上を荒れすさんだ村々の上を茫々たる杉松の密林に身を潜める火田民(かでんみん)の上を北鮮の曠野に萠える野の草の薫りを篭めて吹け!春風よ!夜中(よじゅう)...
槇村浩 「間島パルチザンの歌」
...日没に及んで茫々たる墓場にさしかかれり...
宮崎湖処子 「空屋」
...町は茫々たる焼け野原となり...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...精神的にも物質的にも茫々たる不毛の国土を開拓して...
夢野久作 「鼻の表現」
...後は茫々たる雲のような真実ばかりだ...
横光利一 「欧洲紀行」
...私はロシアの茫々たる平原の天と地を眺め...
横光利一 「欧洲紀行」
...ただ見る東半球の荒海のまつただ中に細長く横たはつた蒼々茫々たる土の塊でしかない...
吉川英治 「折々の記」
便利!手書き漢字入力検索