...五茫々たる天命は知り難しと雖も...
芥川龍之介 「遺書」
...茫々たる黄茅(くわうばう)に蔽(おほ)はれて...
芥川龍之介 「芋粥」
...茫々たる大虚に浮んだ他の地球上のナポレオンは同じマレンゴオの戦に大敗を蒙(かうむ)つてゐるかも知れない...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...茫々たる平野の末遠く...
大町桂月 「鹿島詣」
...一目茫々たる高原...
大町桂月 「冬の榛名山」
...茫々たる道である...
種田山頭火 「旅日記」
...三条の大河は茫々たる沃野を横ぎり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...自分は茫々たる大海原の水の色のみ大西洋とは驚く程異(ちが)つた紺色を呈し...
永井荷風 「黄昏の地中海」
...蒹葭(けんか)茫々たる浮洲(うきす)が...
永井荷風 「放水路」
...だん/\進んで見るから茫々たるあたりへ行つた時彼は船底の棹を取つてしばらく突張つて居たが...
長塚節 「土浦の川口」
...腐蝕土の灰汁と泥土とで、黒褐色に濁った水は、茫々たる原野に、ひとしお荒涼の感を与えている...
中谷宇吉郎 「異魚」
...君まさず葛葉ひろごる家なれば一叢(ひとくさむら)と風の寝にこし茫々たる昔の武蔵野の一隅...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その頃の草茫々たる武蔵野を大風の吹きまくつて居た光景がこの歌を読むとどうやら現はれて来る...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...腐屍を禿鷹の餌食に曝す躯(むくろ)の上を荒れすさんだ村々の上を茫々たる杉松の密林に身を潜める火田民(かでんみん)の上を北鮮の曠野に萠える野の草の薫りを篭めて吹け!春風よ!夜中(よじゅう)...
槇村浩 「間島パルチザンの歌」
...日没に及んで茫々たる墓場にさしかかれり...
宮崎湖処子 「空屋」
...精神的にも物質的にも茫々たる不毛の国土を開拓して...
夢野久作 「鼻の表現」
...私はロシアの茫々たる平原の天と地を眺め...
横光利一 「欧洲紀行」
...最も美妙に動き續けて茫々たる空の倦怠を破つてゐた妻の形が...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
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