...浜に苫船はこれには限らぬから...
泉鏡花 「悪獣篇」
...(船に苫(とま)を葺(ふ)いてくれるのじゃないか...
泉鏡花 「浮舟」
...門を出ると月下の平橋(へいきょう)には白い苫船(とまぶね)が繋(もや)っていた...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...乗せてってくださいまし」ふくらみのある女の声がするので許宣は苫の隙から陸のほうを見た...
田中貢太郎 「蛇性の婬」
...市の中學から恐らく一週間ぶりに歸つた子供は此一夜を父母と同じ苫(とま)の下で明かさうとするのであらう...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...あれは苫舟(とまぶね)で艫(ろ)の音を聞きながら遠くに墨絵のやうな松の岸辺を見る景色でなくてはならぬ...
永井荷風 「黄昏の地中海」
...その前に博徒磯目の鎌吉、苫屋の半太郎、大野木の百助が襷鉢巻で長脇差を抜いて立っている...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...(三蔵の家の戸を叩く)苫屋 (鼻をつまみ作り声をして)今晩は...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...苫屋 勝負しろい...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...(一人の博徒を捉えて苫屋に叩きつける)大野木 野郎...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...前にある一番大きな舟を苫舟(とまぶね)にして二十人ばかりも人の押合ふて乗つて居る乗合船を少し沖の方へかいたのが凡趣向でない...
正岡子規 「病牀六尺」
...漁師夫婦が苫屋(とまや)をさして漕ぎゆくに...
森鴎外 「うたかたの記」
...竹で編んだ苫(とま)のうちから...
吉川英治 「新書太閤記」
...腐った苫(とま)を敷いて...
吉川英治 「新書太閤記」
...いうだけ出そうじゃねえか」「よしきた! 乗りねえ」苫(とま)をかぶせた漁船だった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...苫(とま)をかぶっていたふたりの客が...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...小舟の苫(とま)の陰にいて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...苫蔭にひそみつつ見る雨の日の浪逆(なさか)の浦はかき煙らへり雨けぶる浦をはるけみひとつゆくこれの小舟に寄る浪聞ゆ平常為事をしなれてゐる室内の大きなデスクが時々いやになつて...
若山牧水 「なまけ者と雨」
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