...ざくりと苫を上へあげた...
泉鏡花 「悪獣篇」
...黒い苫船の中に立っているのはいうまでもなく村の物持の家族であった...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...一ところ苫(とま)が葺(ふ)いてあつて...
田山花袋 「朝」
...黒い上げ汐の上をペラ/\と撫で来る冷風のみが灯りを点けた幾十の苫舟(とまぶね)を玩具のやうに飜弄してゐた...
長與善郎 「青銅の基督」
...年月日と苫三七郎の名前が書いてある」「すると親分」「惡者はわかつたよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...苫屋の半の三人は...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...苫屋 何だ、通したっていいだろうと...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...出てきた時は、苫屋、大野木等の逃げた後)おお夜が明けた...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...おっ母さん、阿能(あの)たちは、あそこにいたよ」と、ゆうべの姉崎吉弥は、江戸橋詰の木戸を破って救い出して来た黒衣の女と一緒に、苫舟の方へ、ニコと頷(うなず)いてみせた...
吉川英治 「大岡越前」
...――だが、あくる朝、その苫舟から、男女五人の連れが、此家(ここ)へあがって、朝めしをたべ、そして帰ったさきは、いいたがらなかった...
吉川英治 「大岡越前」
...「刑部も、苫舟から、一緒に降りたのか」「いえ、あの化物刑部は、ぜん息病みで、床についているということですが、それでも、すごい睨みがきくとみえて、悪党仲間では、刑部をおそれない者はございませぬ」「案内してくれないか...
吉川英治 「大岡越前」
...苫の外へ顔を出した...
吉川英治 「私本太平記」
...散所者は荒っぽいというが、こんな夫婦もあるのを見れば、そうでもないのか」すると、苫の下で、「菊王」俊基がまた呼んでいた...
吉川英治 「私本太平記」
...「……卯木(うつぎ)」わが家の苫舟(とま)を見ると...
吉川英治 「私本太平記」
...竹で編んだ苫(とま)のうちから...
吉川英治 「新書太閤記」
...苫(とま)の下には...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それらしいのが今沖から見えて来たとの知らせに小舟の苫(とま)は...
吉川英治 「宮本武蔵」
...苫蔭にひそみつつ見る雨の日の浪逆(なさか)の浦はかき煙らへり雨けぶる浦をはるけみひとつゆくこれの小舟に寄る浪聞ゆ平常為事をしなれてゐる室内の大きなデスクが時々いやになつて...
若山牧水 「なまけ者と雨」
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