...しかしその薄田氏の罪でないことは苟(いやし)くも――三以下省略...
芥川龍之介 「人及び芸術家としての薄田泣菫氏」
...苟(いやし)くも娑婆界(しやばかい)に生まれたからは何びとも「人生の従軍記者」になることは出来ない...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...苟(いやし)くも敵の総大将の胴に篏(は)まっているものである点...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...』しか陳ずれば大音の將メネラオスうべなひつ、 245轟く聲を張りあげてアカイア軍に叫び曰ふ、『友よ、アカイア陣中の將よ、司令よ、苟くも、アガメムノーン、メネラオス之に陪して*民の酒酌む者、――譽れ光榮はクロニオーンより出づる者、汝らおのおの軍勢を率ゐるものよ、われに聞け、 250われ汝らのおのおのを身分くることを得べからず、今戰の炎々の焔はげしく荒れ狂ふ、さらば自ら進み行き、パトロクロスがトロイアの野犬の餌(ゑば)となることを、汝らおの/\恥とせよ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...苟くも問題の名に値いするものであって絶対的なる問題はない...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...愛国運動はこのいわゆる右翼小児病を批判することによって従来の苟めの大衆性をさえ清算することになるのだが...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...苟も公共事業である市電でストライキをやるなぞは非国民この上もないとか...
戸坂潤 「社会時評」
...されど政治家は道徳家に非ず苟も國民の利害...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...苟(いやし)くも仁術を看板として...
中里介山 「大菩薩峠」
...苟(いやしく)も反抗のできぬように丸腰にしてしまったのが秀吉です……それを徳川氏に至って...
中里介山 「大菩薩峠」
...苟(いやし)くも人に対して正坐する時に...
中里介山 「大菩薩峠」
...その一字一句も苟(いやしく)しない氏の創作的態度(さうさくてきたいど)に頭が下らずには居られません...
南部修太郎 「三作家に就ての感想」
...苟(いやしく)も男児たる者が零落したのを耻ずるとは何んだ...
二葉亭四迷 「浮雲」
...それには苟(いやし)くも想像力にうぶな...
マルセル・プレヴォー Marcel Prevost 森鴎外訳 「田舎」
...そんな事は苟(いやし)くも男子のする事では無いと一度も落胆はしなかった...
牧野富太郎 「植物記」
...蕪村は一種の潔癖ありて苟も心に満たざる句はこれを口にせざりしか...
正岡子規 「俳人蕪村」
...是(この)故(ゆゑ)に苟(いやしくも)有義気(ぎきある)者...
森鴎外 「津下四郎左衛門」
...即ち書を茶山に与へて曰く使襄禽獣、則可、苟亦人也、則何心処之、亦何面目以見二天下之人一乎と...
山路愛山 「頼襄を論ず」
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