...苟も蛇の言葉を解することが余には堪へ難く苦々しいのである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...女の苟合(こうごう)などという葉子の敵を木村の一身におっかぶせて...
有島武郎 「或る女」
...あの堤防上に亂鬪が起つたとして自分は果して泰然とこれを乘切ることが出來たであらうか? 苟も十字架を負うて社會運動に身を投じたと稱するものが...
石川三四郎 「浪」
...苟しくも生きてゐる間は思索と執筆とが自分の生命だとして...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...苟(いやしく)も有夫の女じゃないか...
田中貢太郎 「春心」
...これみな吾が苟(いやし)くもこれをなすに非ず...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...「苟くも偉人たる本木昌造先生の名を傷けるものとして」入牢否定説に終始してゐる...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...苟くも人生上の問題などに付て幾分か考察的の態度を取て居る者は皆な有つて居ると云ふことが出來る...
朝永三十郎 「懷疑思潮に付て」
...君にして苟も政黨を組織せむとせば則ち君自ら之れを爲して可なり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...さりながら閣下にしても苟も此般の情實に拘束して自ら斷ずる能はざれば...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...苟(いやしく)も人間の物影である以上...
中里介山 「大菩薩峠」
...苟(いやしく)も反抗のできぬように丸腰にしてしまったのが秀吉です……それを徳川氏に至って...
中里介山 「大菩薩峠」
...それが苟且にも身動きの出來なく成つたのは全く僕の罪であつた...
長塚節 「開業醫」
...恁(こ)んな場合(ばあひ)を巧(たくみ)に繕(つく)らふといふ料簡(れうけん)さへ苟且(かりそめ)にも持(も)つて居(ゐ)ない程(ほど)一面(めん)に於(おい)ては濁(にごり)のない可憐(かれん)な少女(せうぢよ)であつた...
長塚節 「土」
...苟も其人を教えて事に慣れしむるときは...
福沢諭吉 「女大学評論」
...双方共に苟(いやしく)も封建の残夢を却掃(きゃくそう)して精神を高尚の地位に保つこと能(あた)わざる者より以下は...
福沢諭吉 「旧藩情」
...苟も日本國に居て政治を談じ政治に關する者は...
福沢諭吉 「帝室論」
...我邦の現時は吾人をして寸時も放漫退嬰苟且偸安(こうしょとうあん)を許さざるなり...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
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