...白い苔(こけ)の衣が壁にはめこんだ記念碑の碑文をおおい...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「ウェストミンスター寺院」
...そこには唯苔(こけ)の生えた上に煉瓦や瓦の欠片(かけら)などが幾つも散らかつてゐるだけだつた...
芥川龍之介 「或阿呆の一生」
...その一部を苔むす果樹はかがやく小流れにゆずるその流れの住人は滑りはしるジャコウネズミと矢のようにおよぎまわるすばやいマス...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...鑛毒浸入に因れる堤防の竹木草苔の枯涸...
田中正造 「公益に有害の鑛業を停止せざる儀に付質問書」
...先生お早うございます・右は上方道とある藤の花ふつたりやんだり歩く外ない降り吹く国界の石ほどよう苔むした石の国界どしやぶりのお地蔵さん・穂麦...
種田山頭火 「行乞記」
...屋根の瓦(かわら)は苔で青く染められている...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...石には苔(こけ)の斑(ふ)が薄青く吹き出して...
夏目漱石 「虞美人草」
...いつの間に附着したものやら底も縁も青い苔(こけ)で色取られている...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...袖付や袵(おくみ)の皺が苔でも置いたようなしっとりした青味(あおみ)の谷をつくって...
久生十蘭 「猪鹿蝶」
...隙間なく生えた青苔の上を...
久生十蘭 「魔都」
...久々生卵と海苔で...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...「それに苔の生えるまで...
堀辰雄 「室生さんへの手紙」
...苔(こけ)なんかむしってしまおう...
宮沢賢治 「気のいい火山弾」
...高館に登りて見れば小糠雨烟りて寒く朽ちかけし家のほとりの高き木に鳴く蝉かなし苔かほる古き木に倚りその昔の人をしのべど木々に吹く風も寂しく消えて行く思ひ儚し遠山の淡くけむりて北上は北の果よりその昔の夢を語らずうね/\とうねりて流る故郷を遠くはなれて旅に見る夢跡かなし生ひ繁る草木の緑高館に吹く風寒し...
森川義信 「高館」
...触ったら苔(こけ)がめくれて来うが?」「お母(かあ)を呼んでくれんか?」「今日はおらんぞ...
横光利一 「南北」
...この歸趨は、やがて一方が、民衆のものとして、ふたつの大本願寺をなしとげる頃になり、五山は、人なき苔の庭と、林泉に蝉の啼く山をもつだけのものになり終つた...
吉川英治 「折々の記」
...楓の根がたの青苔のうへをば小さい弁慶蟹の子が二疋で...
若山牧水 「なまけ者と雨」
...苔清水の滴つている岩の肌にうす紫のこまかな花の咲いてゐるのがあつた...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
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