...再び鎌倉平野屋に宿る藤の花軒ばの苔の老いにけりといふのがある...
小穴隆一 「二つの繪」
...苔虫類では生まれながらこの性質が備わっているから...
丘浅次郎 「理想的団体生活」
...岩石に稜角がなくて水苔が生じていて...
高頭仁兵衛 「平ヶ岳登攀記」
...かご入りの青海苔(あおのり)を持って来て...
寺田寅彦 「高知がえり」
...また松林の奧の苔深いみちのほとりに...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...時としては青黒い苔桃(こけもも)のような甘っぽい空疎な味であるが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...一抱えほどの幹と三抱えぐらいのとが根もとから二叉(ふたまた)になって幹にも枝にも更紗(さらさ)模様をおいたように銭苔(ぜにごけ)がはえ...
中勘助 「島守」
...苔(こけ)が生えないくらいだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...と思うと古く厚みのついた苔(こけ)の上をまた一匹...
夏目漱石 「永日小品」
...岩はエメラルド色に苔むしておりますが...
野村胡堂 「幻術天魔太郎」
...「庭石の苔(こけ)がひどく剥(は)げてますよ」「それを今俺も考へてゐるんだ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ビロウドスギ)の条下に又別ニ一種高野ノマンネングサト呼者アリ苔ノ類ナリ根ハ蔓ニシテ長ク地上ニ延ク処処ニ茎立テ地衣(ヂゴケ)ノ如キ細葉簇生ス深緑色ナリ採リ貯ヘ久シクシテ乾キタル者水ニ浸セバ便チ緑ニ反リ生ノ如シ是物理小識ノ千年松ナリと述べている...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...地踏菜 苔ヲ食フ一名地耳状チ木耳ノ如(ごと)ク春夏ニ雨中ニ生ズ雨後ニ采リ熟シテ食フ日ヲ見レバ即チ枯没ス地踏菜...
牧野富太郎 「植物記」
...冬から春にかけて無数にできる海苔干し場と...
山本周五郎 「青べか物語」
...田舎へは浅草海苔(のり)とかき餅がなによりということで...
山本周五郎 「思い違い物語」
...大自然の苔(こけ)の下から...
吉川英治 「宮本武蔵」
...今日まで、生きていられるのは、水と苔と、蟇(がま)のおかげである...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...利根山奥の低(ひく)き所(ところ)は山毛欅帯に属(ぞく)し、高(たか)きは白檜帯に属す、最高なる所は偃松帯に属(ぞく)すれども甚だ狭(せま)しとす、之を以て山奥の入口は山の頂上に深緑色の五葉松繁茂(はんも)し、其他は凡て淡緑色の山毛欅樹繁茂す、山奥の深(ふか)き所(ところ)に至(いた)れば黒緑色の白檜山半以上に茂(しげ)り、其以下は猶山毛欅樹多し、故に山々常に劃然(くわくぜん)として二分せられ、上は深緑、下は淡緑、其景実(じつ)に画(えが)くが如きなり、此他石南樹、「ななかまど」「さはふたぎ」、白樺、楢類等多しとす、草類に於ては「わうれん」、「ごぜんたちばな」、「いはべんけいさう」、「まひづるさう」、「まんねんすき」、「ひかげのかづら」、毛氈苔、苔桃、「いはかがみ」、「ぎんらんさう」、等多し、菌類に於ては「みの茸」、まひ茸、黒ほざ茸、す茸、「こぼりもだし茸」、等食すべきもの実(じつ)に多し...
渡邊千吉郎 「利根水源探検紀行」
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