...深窓(しんそう)宮裡(きゆうり)花陰の夢に耽(ふけ)るべき人乍(なが)ら...
石川啄木 「閑天地」
...黒い絹レースのマンテリアを後に垂らした純西班牙(エスパニア)風の装いをした妻と卓を挟んで薔薇と麝香撫子(カーネーション)の花陰に語り...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...たとえそこに坐っていて私と一言も口をきいてくれぬでもいいし、また口をきけば二言目には冷たい嘲笑を頬のあたりに泛(うか)べる、あの側へも寄り付けぬ怒りを現した態度であってもいいから、ついその花陰に、ドローレスが坐っていてくれさえしたならば、この食堂もさぞかしもっと温味のある居心地のいい食堂になったであろうに、なぞと思わずにはいられなかったのであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...そしてダイアナに似てもっと豊麗な裸体女神の雪花石膏の台座を囲んで、見る眼広やかに白大理石を敷き詰めた大浴池の岸には、白菖(マートル)と麝香草(じゃこうそう)とが咲き乱れ、花陰では三、四人の侍女たちが清冽な水に白い脚を浸(ひた)して笑い戯れながら、さっきから水遊びに余念もありません...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...私は今桃金花(てんにんか)と薔薇の花陰に座を占めながら...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...リラの花陰で夢想してる若い女のあきらめきった静安...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...僕は音楽で性格描写をやってみせるんだが……(下の庭のリラの花陰にすわってるあの少女を描いてみせようかね...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...愛暖花陰停小車...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...「ああ……そこらの花陰や泉の汀(なぎさ)で...
吉川英治 「三国志」
...陛下をかこんでおはなしする会が皇居内の花陰亭でもよおされた...
吉川英治 「舌のすさび」
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