...並み木の槐(えんじゅ)は花盛りだった...
芥川龍之介 「馬の脚」
...濱の畑の菜種はまだ花盛りで彼等の最も好きな實を結ぶには間があると思ふが...
相馬御風 「孤座」
...其梨子も今は花盛りだ...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...結縁(けちえん)は疑(うたがい)もなき花盛り聾(ろう)青畝(せいほ)ひとり離れて花下に笑(え)む昭和七年四月十九日 木槿会...
高浜虚子 「五百句」
...それには何か暗黒の恐怖以上のもの――陽光の恐怖がまつわりついていた……というのは気まぐれな太陽がその木と人を舞台の小道具のようにはなやかな色で描き出していたからであつた……木は花盛りだつたし...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「とけない問題」
...紫雲英(れんげそう)の花盛りである...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...今は山茶花の花盛りである...
外村繁 「日を愛しむ」
...しかしエルムにも立派に花盛りがあるのである...
中谷宇吉郎 「楡の花」
......
野口雨情 「雨情民謡百篇」
...十二月は実に病(やまい)の花盛りなりしが如し...
野中到 「寒中滞岳記」
...いまや霞のような巴旦杏(アマンド)の花盛り...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...菊の花盛りは十一月の初旬で空気が澄み一年中一番気持のよい気節で...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...げんげの花盛りの田の中に...
牧野信一 「歌へる日まで」
...げん/\の花盛り過ぎて時鳥(ほととぎす)の空におとづるゝ頃は赤き薔薇白き薔薇咲き満ちてかんばしき色は見るべき趣無きにはあらねど我小園の見所はまこと萩(はぎ)芒(すすき)のさかりにぞあるべき...
正岡子規 「小園の記」
...観音で雨に遇(あ)ひけり花盛りこの句について余は「観音で」と俗語を持つて来たところが少し得意であつたのだ...
正岡子規 「病牀六尺」
...わたしが若くて最も奔放であった頃、(b)わが齢(よわい)、花盛りにして、春をたのしめる頃(カトゥルス)(a)女たちに取りまかれて遊びに耽っているわたしを見て、或る男は、「独りひそかに嫉妬にでも悩んでいるのではないか、あるいは何か希望の遂げ難いのをはかなんでいるのではないか」などと想像したが、その時わたしは、その数日前に、やはり同じような宴会のかえるさに、わたしと同じように夢心地と恋ごころと楽しい時のこととで頭を一杯にしているところを、突然高熱と死とにおそわれた或る男のことを思い浮べ、自分にもまた同じ運命がさし迫っているかのように、考えていたのであった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...残りも畠となって一面の南瓜(かぼちゃ)の花盛りである...
柳田国男 「雪国の春」
...森の中はマロニエの花盛りだ...
横光利一 「欧洲紀行」
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