...ナソレ牡丹(ぼたん)に芍藥(しやくやく)...
泉鏡太郎 「畫の裡」
...其頃(そのころ)流行(はや)った縮緬細工(ちりめんざいく)の牡丹(ぼたん)芍薬(しゃくやく)などの花の附いた燈籠を提(さ)げ...
田中貢太郎 「牡丹燈籠 牡丹燈記」
...きっと来て! 今もテーブルの瑠璃(るり)の花瓶の中で綻(ほころ)びかけた白い芍薬(しゃくやく)が...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...既に芍薬の莟が淡紅くなつてゐて...
徳田秋聲 「佗しい放浪の旅」
...芍薬(しゃくやく)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...芍薬(しゃくやく)も十坪(とつぼ)あまり一面に植え付けられていたが...
夏目漱石 「こころ」
......
萩原朔太郎 「短歌」
...墨汁のかわく芭蕉の巻葉かな芍薬(しゃくやく)は散りて硯の埃(ほこり)かな五月雨(さみだれ)や善き硯石借り得たり(六月十三日)三十三○同郷の先輩池内氏が発起にかかる『能楽』といふ雑誌が近々出るさうである...
正岡子規 「病牀六尺」
...彼は又、日本趣味を多分に持っていて、色の殆どない様な朝顔、昼顔、芍薬、実につまらない断腸花、合歓、日々艸なぞを大層崇め奉って、その花や葉っぱを甞めて渋い顔をしたりする...
松永延造 「職工と微笑」
...林述斎曰く、桜の前の彼岸桜、牡丹の後の芍薬、カキツバタの後の花菖蒲、撫子の前の石竹、菊の後の寒菊、何れも品格は劣れども、又すて難くやとは、憲政会連が若槻首相を評する様に聞える...
南方熊楠 「きのふけふの草花」
...芍薬(しやくやく)...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...そして大きな画架、青い天鷺絨張りのモデル台、卓(たく)、置暖炉(おきストオブ)、花瓶(はながめ)、肱掛椅子(フオオトイユ)、いろ/\の椅子、紙片、画布(トワル)、其等の物が雑然と人り乱れ、麝香撫子と、絵具と、酒と、テレピン油(ゆ)とが匂ひの楽(がく)を奏(ジユエ)する中(なか)に、壁から、隅々(すみ/″\)から、友の描(か)いた衣(きぬ)を脱がうとする女、川に浴する女仰臥の女、匍ふ女、赤い髪の女、太い腕(かひな)の女、手紙を書く女、編物をする女、そして画架に書きさした赤い肌衣(コルサアジユ)の女、其等の裸体、半裸体の女等と、マントンの海岸、ブルタアニユの「愛の森、」ゲルンゼエ島の牧場、村道、岩の群(むれ)、グレエの森、石橋、其等の風景と、赤い菊、赤い芍薬、アネモネの花、薔薇、林檎と蜜柑、梨、其等の静物とが見とれる如く、あまえる如く、誘(さそ)る如く、熱い吐息(といき)を彼れに投げ掛ける如く、彼れの一挙一動に目を放さぬ如く、我が美くしいナルシスの画家を取巻いて居る...
與謝野寛 「梅原良三郎氏のモンマルトルの画室」
...芍薬(しゃくやく)の駕(かご)源内の誰に縫(ぬ)わせし袷(あわせ)かなその晩...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...清純一枝の芍薬こそ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...その手へ、芍薬をのせて、「左様なら」彼女は、軒先から駒の背に乗って、ひらりと、被衣(かずぎ)にすがたを包んだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...武蔵はふとそこへ置いて行った芍薬の枝の切り口に眼をとめて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...幹は柔軟な芍薬のそれではあるが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...芍薬(しゃくやく)の枝の切り口を一見して...
吉川英治 「宮本武蔵」
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