...予期はしていたものの、悪夢のように怪奇で、艶麗な光景に、両人とも「アッ」といったまま、二の句がつげなかった...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...野獣のやうにもがき つきやぶり わめき をののいて颯爽としてぎらぎらと化粧する わたしの艶麗な死のながしめよ...
大手拓次 「藍色の蟇」
...貴女はいつもその艶麗な華奢(きゃしゃ)な青春を惜し気なく弟一人のために捧げて下さった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...彼は南方の市の『熱き巷(ちまた)』へ降臨したが、それはちょうど、『華麗なる火刑の庭』で、ほとんど百人に近い異教徒が、ad majorem gloriam Dei(神の栄光を大ならしめんがため)国王をはじめ、朝臣や、騎士や、僧正や、艶麗な女官や、その他セヴィリヤの全市民の眼の前で、大審問官の僧正の指揮のもとに、一挙に焼き殺されたあくる日であった、キリストはこっそりと、人知れず姿を現わしたのだが、人々は――不思議なことに、――キリストだとすぐに感づいてしまう、ここが僕の劇詩の中ですぐれた部分の一つなんだ、――つまり、どうして人々がそれを感づくかというところがさ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...最も柱絵に適当すべき艶麗なる画題なるべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の名にし負う艶麗なるにひきかえて...
中里介山 「大菩薩峠」
...そのうちに、政信の絵から脱け出したのではなく、政信の描いた若衆よりも、もっと艶麗な、もっと活々(いきいき)した美少年が、二枚折の蔭から半身を出して、桜子の寝姿を、いとも惚々と眺めて居るのだということが判然(はっきり)わかりました...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...容姿の艶麗な外には取柄(とりえ)のない仏像ばかり...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...此上もなく懦弱で臆病で艶麗な王の命令で神通蛮勇の猿が悪魔と戦ふ……それが為に悪魔に斃されてしまつても...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...水野年方らの艶麗な挿絵に飾られて...
正岡容 「圓朝花火」
...かの艶麗ならんとして卑俗に陥りたるものに比して毫(ごう)も優(まさ)るところあらざるなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...(但し壮大雄渾の句は芭蕉これあれども後世に至りては絶えてなし)故に俳句を学ぶ者消極的美を惟一の美としてこれを尚(とうと)び、艶麗なる者、活溌なる者、奇警なる者を見れば則(すなわ)ち以て邪道となし卑俗となす...
正岡子規 「俳人蕪村」
...彼(か)の艶麗ならんとして卑俗に陥りたる者に比して毫も優(まさ)る所あらざるなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...牡丹(ぼたん)は花の最も艶麗なる者なり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...所謂艶麗な作品などと同列に置かる可きものではない...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...分(ぶん)にならるる娵(よめ)の仕合(しあわせ)利牛(りぎゅう)はんなりと細工(さいく)に染まる紅(べに)うこん桃隣(とうりん)鑓持ちばかり戻る夕月(ゆうづき)野坡(やば)まことに艶麗な句柄(くがら)である...
柳田国男 「木綿以前の事」
...艶麗な美しさをもっている...
夢野久作 「暗黒公使」
...おまえたちは案じぬがいい」夫人はツンとして艶麗な威厳を兵どもに誇って見せた...
吉川英治 「新・水滸伝」
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