...その手紙は思いもよらないほかの男から妻へ宛てた艶書(えんしょ)だったのだ...
芥川龍之介 「開化の良人」
...二人が艶書をとりかはすをしかと見とどけたと申すものも...
芥川龍之介 「奉教人の死」
...「ろおれんぞ」へ宛てた娘の艶書を拾うたに由つて...
芥川龍之介 「奉教人の死」
...『アレは肺病で将(まさ)に死せんとする山内謙三の艶書です...
石川啄木 「鳥影」
...その富江が山内の艶書を昌作に呉れた事を話さうかと思つたが...
石川啄木 「鳥影」
...島原の遊女が昵懇客(なじみきゃく)へおくる艶書の代筆までしたことがあった...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...これは過去一年間に五十嵐と細君との間に取り交はされた艶書の殼である...
高濱虚子 「俳諧師」
...それはまだ母が勤め奉公時代に父と母との間に交された艶書(えんしょ)...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...無礼千万な艶書(ふみ)を吾(ひと)にやったりなンぞ……もうこれから決して容赦はしませぬ」「何ですと?」千々岩の額はまっ暗くなり来たり...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...大胆にも一通の艶書(えんしょ)二重(ふたえ)封(ふう)にして表書きを女文字(もじ)に...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ただ心外なるはこの上かの艶書(ふみ)の一条もし浪子より中将に武男に漏れなば大事の便宜(たより)を失う恐れあり...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...兄は或上級生に艶書(ふみ)をつけられたと云って...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...どうせ無関係な第三者がひとの艶書のぬすみ読みをするときにこっけいの興味が加わらないはずはないわけであるが...
夏目漱石 「手紙」
...どこかの女に艶書を送ったのか」「いいえ...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...名前だけ借したとは何の事だい」「あすこの娘がハイカラで生意気だから艶書を送ったんです...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...艶書、バイオリン弾奏、文学書閲読、遊廓散歩等の悪事を発いて制裁を加へる一味の不良正義党が学生間に自づと組織されて、彼はその党の一員だつたが、彼等のその他の生活は悉く当局の忌諱に触れることばかりで、その方面では彼は煽動的張本人であつた...
牧野信一 「貧しき日録」
...自分達の艶書は未(ま)だ銭(ぜに)に成るには早いと独り苦笑した...
與謝野寛 「執達吏」
...艶書を送られたり...
吉川英治 「美しい日本の歴史」
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