...途中あかねさす西日は照れどひぐらしの鳴き蟲山に雨かゝる見ゆゆくゆく一人の少女のいと艶なるに逢う...
伊藤左千夫 「滝見の旅」
...『色懺悔』というような濃艶な元禄情味を滴(した)たらした書名が第一に人気に投じて...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...世にも豊艶な美しい一個の肉塊として……...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...豊艶な顔から一切の血の気を奪ったのだ...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...嬌艶な色がその眼から消えて...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...干涸(ひから)び切った醜女があんなにも水々しい妖艶な女と変じ...
西尾正 「陳情書」
...お村は脂の乘つた豐艶な身體...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...困ったことに日が経ちすぎたよ」妖艶なお小夜も知らず...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...曾て多勢の人を惱ました妖艶な顏は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...時には異国的な邪悪妖艶な楽の音が漏れ...
野村胡堂 「法悦クラブ」
...暮春などいへる春の題を艶なる方(かた)に詠み出でたるは蕪村なり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...美にして艶なりと...
南方熊楠 「十二支考」
...源中将が身に持つにおいを誘うのも艶な趣のあることであった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...にんがりと踏みつぶしたような妖艶な微笑がうかんで...
室生犀星 「香爐を盗む」
...女に無関心な彼の目にも迫るような濃艶な顔が...
吉川英治 「江戸三国志」
...そこに坐った妖艶なお粂のすがたが映っている...
吉川英治 「江戸三国志」
...くたびれたのかえ」とこの暗澹(くらやみ)な山中で見てもなお飽くまで艶な顔を覗かせた...
吉川英治 「剣難女難」
...米八の白い脛(はぎ)だの仇吉の艶な姿を火の中に見ていたのである...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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