...処々艶(つや)あるよう...
泉鏡花 「悪獣篇」
...この艶(なま)めかしい空気は子供の時にはじめてかいだ海の匂に似てゐた...
犬養健 「朧夜」
...名人と言はれた小艶が綱から落ちる筈はないよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そこへドシーンと來たんです」「小艶も小染も獨り者だね」「へエー」「男はなかつたのか」「小艶さんは見識(けんしき)が高くて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...綱から落ちて死んだ小艶の死骸は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...くり返しくり返し執拗に出て来る妖悪凄艶な主題が...
野村胡堂 「死の舞踏」
...お尻に女らしい艶やかさをうしなはない...
長谷川時雨 「夏の女」
...艶子は涙も出ない程悲しむだに異ひないだらう……と...
牧野信一 「駒鳥の胸」
...それは青ンぶくれの糸瓜のやうな色艶であつた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...お艶ちゃんのことなんかあきらめて...
正岡容 「寄席」
...暮春などいえる春の題を艶なる方に詠み出でたるは蕪村なり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...豪華艶美(えんび)を極めた花房(はなぶさ)が...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...一七ことによったら、返り血さえ浴びたまままだ干(かわ)かず、血しおの匂いも移っていよう、殺人の美女を行灯の灯かげに近く眺めながら、髪の艶やかさ、頬の白さ、まつ毛の長さ、居くずれたすがたのしおらしさに、目を奪われ、魂を盗まれた、二人の破落戸(ならずもの)、一人の慾婆、そうした秘密を嗅ぎ分けることも、見わけることも出来ず、めいめいの煩悩(ぼんのう)、慾念に、涎(よだれ)も流さんばかりの浅間しさだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...艶(えん)な姿ももう宮のお目にはうとましいものにばかり見えた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...しかも打ち解けぬものが夫人の心にあって品よく艶(えん)な趣なのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...艶(つや)がなかった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...振り返る家の景色も艶を失うことがない...
横光利一 「旅愁」
...桜吹雪(さくらふぶき)のような濃艶(のうえん)さはないが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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