...薔薇(ばら)の花のように艶(あで)やかに響くこの歌詞ではあったけれど...
海野十三 「恐怖の口笛」
...栗色の馬の毛のやうな艶(つや)つぽい手は...
大手拓次 「藍色の蟇」
...アートレ,デースこなたには艶冶のパリス探すべく...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...彼は南方の市の『熱き巷(ちまた)』へ降臨したが、それはちょうど、『華麗なる火刑の庭』で、ほとんど百人に近い異教徒が、ad majorem gloriam Dei(神の栄光を大ならしめんがため)国王をはじめ、朝臣や、騎士や、僧正や、艶麗な女官や、その他セヴィリヤの全市民の眼の前で、大審問官の僧正の指揮のもとに、一挙に焼き殺されたあくる日であった、キリストはこっそりと、人知れず姿を現わしたのだが、人々は――不思議なことに、――キリストだとすぐに感づいてしまう、ここが僕の劇詩の中ですぐれた部分の一つなんだ、――つまり、どうして人々がそれを感づくかというところがさ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...彼女はひどく艶をおびた眼付をした...
豊島与志雄 「死の前後」
...君江の目にも寐静(ねしずま)った路地裏の情景が一段艶(なまめか)しく...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...金田の娘に艶書(えんしょ)を送ったんだ」「え? あの大頭がですか...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...しかしあの大頭が艶書をかいたと云うには...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...吹矢は小艶のこめかみへ眞直ぐに立つてゐたさうですよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...下女のお六が取次ぐのでしょうな」「――」お艶はうなずきました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「…………」相手の心持ちが量りかねてお艶は...
正岡容 「寄席」
...なんだって」とっさにお艶には今松の言葉の意味がわからなくて...
正岡容 「寄席」
...庭上に刎(は)ね下りようとした平馬を艶(あだ)っぽく押し止めて...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...昔ロンドンの画工若き艶妻を持つ...
南方熊楠 「十二支考」
...所謂艶麗な作品などと同列に置かる可きものではない...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...艶(えん)に薫香(たきもの)の香をしませたものに着かえて院が出てお行きになるのを見ている女王の心は平静でありえまいと思われた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...荒っぽい原石から綺麗な艶(つや)を有った品になるまでの手間は大変なものでありましょう...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...使い古した鞣(なめ)し革のように皺(しわ)たるんで艶(つや)のない皮膚...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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