...昨今の私にはすべて色褪せたものに見えるのである...
モオパッサン 秋田滋訳 「ある自殺者の手記」
...紫の色褪せて莖許りの茄子の...
石川啄木 「葬列」
...色褪せた紫の袴を靡かせ乍ら...
石川啄木 「鳥影」
...絹には「時」の薫(くん)ずれど「妄執(まうしふ)」の色褪せにたり...
ステファンヌ・マラルメ Stephane Mallarme 上田敏訳 「ソネット」
...さぞ色褪せることだらう...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...黒鯉も緋鯉も色褪せて...
梅崎春生 「狂い凧」
...萎みて色褪せたれど...
大町桂月 「小利根川の櫻」
...自然は默つて聞いてゐるそこらが急に淋しくなるくねつた桑の木の行列も淋しさうに生えてゐる空は色褪せて灰色に見えて來る自分も疲れて來るこゝらは景色がひろすぎる街の方へ引返へす(一九一八...
千家元麿 「自分は見た」
...やぶれたきものに色褪せたはかま……痩せほそった顔に目をとじた...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...やがて色褪せてしまうことだろう...
豊島与志雄 「復讐」
...色褪せた口は貪欲な歯によって武装されていた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...しかし総てのことはこの偉大な日に起こった大事件の前に色褪せてしまい...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...色褪せた人形を愛することに...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...四枚ばかりの色褪せた書簡箋に細かな字で書き込んである...
堀辰雄 「色褪せた書簡箋に」
...そしてこれらの印象の色褪せた模寫であるところの觀念も同じやうに相互に分立的である...
三木清 「認識論」
...今更に寂しい微笑がこの色褪せた唇にのぼります...
水野仙子 「響」
...彼にとつて此の生活と云ふ風景は全く色褪せた代物(しろもの)であつた...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...われわれのごとき凡人にも過去の一切が色褪せた物理学の形骸にすぎぬと見えて来たのは...
横光利一 「北京と巴里(覚書)」
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