...何か色褪せた過去の匂をかぐ思ひがした...
犬養健 「朧夜」
...絹には「時」の薫(くん)ずれど「妄執(まうしふ)」の色褪せにたり...
ステファンヌ・マラルメ Stephane Mallarme 上田敏訳 「ソネット」
...萎みて色褪せたれど...
大町桂月 「小利根川の櫻」
...やぶれたきものに色褪せたはかま……痩せほそった顔に目をとじた...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...熱のために色褪せたかれの唇を冷した遙かなるエレクトラの方(かた)へと送つて居る一個の陰鬱な孤独な散歩者を見るであらう...
ボードレール 富永太郎訳 「人工天国」
...薄明(うすあかり)を食べてゐる橋の下で友禅染を晒すのだとかいふ黝(くろ)い水が産卵を終へた蜉蝣(かげろふ)の羽根を滲ませるおまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれ色褪せた造りものの おまへの四肢(てあし)の花々で貧血の柳らを飾つてやることはないコンクリートの護岸堤は 思ひのままに白(しら)けさせようおまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれああ おまへの歯はよく切れるさうな...
富永太郎 「無題 京都」
...色褪せた菊の花の影から...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...帽子もかぶらず色褪せた眼(め)をした哀れな奴ばかり...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...彼が肯いたのでわたくしはその一つを取り、古びた、色褪せた、たった今はがした間隙の傍らにある墓石の上に腰を下ろしました...
西尾正 「墓場」
...少し色褪せた鹿の子絞りも哀れですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いくら陽がさゝぬとは云つても埃つぽくなつてしまつて色褪せてゐる...
林芙美子 「朝夕」
...安物の黒くて色褪せ...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...すっかり色褪せて...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...しかし総てのことはこの偉大な日に起こった大事件の前に色褪せてしまい...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...あの夜の幻影が幾分色褪せたこともあり...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...王の意のままなる所領のうちに――座していた!熾天使といえど翼をこの半ばも美しい御殿に広げたことあるまいて!旗が黄金色して眩いばかりに頂きにて数々流れそよいでいた――(これは――何もかも――古えのはるか昔のこと)穏やかな風が吹くたび絡み合うあの愛おしい日に羽飾り並ぶ色褪せた城壁沿いから香気は翼生やして離れ去った...
エドガー・A・ポオ Edger A. Poe 「ポオ異界詩集」
...その火花はうすれて色褪せ...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...あれほど儚なく色褪せて見えた千鶴子であったのに今はこんなに美しく見えるとは...
横光利一 「旅愁」
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