...俺の敍述が此處に到達するまでに當時の心持も可なり色褪せて了つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...さぞ色褪せることだらう...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...黒鯉も緋鯉も色褪せて...
梅崎春生 「狂い凧」
...色褪せた萠黄(もえぎ)の古蚊帳(ふるかや)が吊ってある...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...萎みて色褪せたれど...
大町桂月 「小利根川の櫻」
...かつては美しかった色彩が色褪せて見る影もない薄ぎたない汚染(しみ)になってしまったような感じを与えるのであった...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...そうして不潔ではないが色褪せた花形模様の着物を着ている彼女は...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...色褪せてきっと結ばれていた...
豊島与志雄 「子を奪う」
...投網の夜打ちの清爽な感覚は色褪せても宜しい...
豊島与志雄 「田園の幻」
...草原は凋びきって色褪せた匂いを立て...
豊島与志雄 「真夏の幻影」
...すっかり色褪せて...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...しかし総てのことはこの偉大な日に起こった大事件の前に色褪せてしまい...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...四枚ばかりの色褪せた書簡箋に細かな字で書き込んである...
堀辰雄 「色褪せた書簡箋に」
...「土橋亭りう馬」の名が色褪せてきれぎれに...
正岡容 「寄席」
...そしてこれらの印象の色褪せた模寫であるところの觀念も同じやうに相互に分立的である...
三木清 「認識論」
...その火花はうすれて色褪せ...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...彼にとつて此の生活と云ふ風景は全く色褪せた代物(しろもの)であつた...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...われわれのごとき凡人にも過去の一切が色褪せた物理学の形骸にすぎぬと見えて来たのは...
横光利一 「北京と巴里(覚書)」
便利!手書き漢字入力検索