...艫(とも)を波のほうへ向ける事も得しないで...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...片手(かたて)で艫(ろ)を繰(あやつ)りはじめながら...
泉鏡太郎 「麻を刈る」
...艫(とも)からドンと飛下りただ...
泉鏡花 「海異記」
...艫(とも)の縄がぷつりと切れて...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...二石相竝んで、其形巨船の如く、舳艫相反せり...
大町桂月 「春の筑波山」
...吾々の舟はヒスパニオーラ号に艫(とも)を向ける代りに舷側(ふなばた)を向けて...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...艫の向ふからは左になつた室へと通された...
田中貢太郎 「牡蠣船」
...花火船の艫(とも)にしゃがんでいた印半纏(しるしばんてん)の老人は...
寺田寅彦 「雑記(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
...余等は導かれて紅葉館の旗を艫(とも)に立てた小舟に乘つた...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...彼女は緊(しか)と舟の艫(とも)を掴んだ...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...艫の方から踊りながら歩いて来た茂太郎は...
中里介山 「大菩薩峠」
...艫へつゝけて一里も一里半も流れるんだ...
長塚節 「土浦の川口」
...艫からこの狂態をジッと見詰めている貫兵衛の冷たい顔には不気味なうちにも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...佐倉屋はじぶんで艫へ立ってゆき...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...艫の横木に腰をかけながら...
牧野信一 「ランプの便り」
...そう艫(とも)を突くない艫を! 見ろッ...
吉川英治 「剣難女難」
...艫(とも)へ坐りこむとすぐ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...太いともづながうねうねと波を切って艫(とも)へ手繰(たぐ)り上げられているのが大蛇(おろち)のように見えた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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